連載:東京新聞「子育て日記」 2016年5月9日
3つの礼を学ぶ -プロ女流棋士中倉彰子 子育てブログ
今、北海道の稚内で、この原稿を書いています。稚内は主人の実家で、今回はお盆での帰省。北海道の夏をゆっくり過ごすのは初めてですが、爽やかな風が心地よく、快適です。子供達も、いつもよりよく寝て、元気に外を飛び回っています。
先日、静岡県で、子供を対象にした将棋合宿「浜松錬成塾」に、講師として参加してきました。
この合宿は、3日間、子供達がお寺で過ごし、寝食を共にしながら将棋を学ぶというもので、毎年夏のこの時期に行われています。
朝は5時に起床。和尚さんが鳴らす「振鈴」という鈴の音で目を覚まします。その後、皆で座禅を組みます。最初はモソモソと動いている子も、少しずつ、じっとしてきます。
しばらくすると、「警策」という長い棒で、全員が、ピシッ!と肩を叩かれます。これで身が引き締まります。将棋は長い時間盤の前に座るため、座禅はよい訓練になります。
今回私は入門クラスを担当。簡単なルールがわかる子供が対象です。
私「将棋には『3つの礼』という大切な礼儀があります。最初は『お願いします』と言ってから始めます。では、次はなんだと思う?」
A君「強いですね~。」
今から、そんなヨイショを覚えなくても(笑)。
2つ目の礼は、玉を詰まされた方が『負けました』と言葉を発し、一礼すること。悔しい気持ちを抑え、潔く自分の負けを認めることが、将棋では大事な礼儀とされています。勝った方は、礼を返します。
3つ目は、駒を片づけた後、互いに『ありがとうございました』と言い合い礼をします。勝った方も負けた方も、一緒に対局できたことへの感謝の気持ちを込めます。
「礼儀作法も実力の内」という言葉があるように、ゲームという枠を超え、相手を思いやる気持ちも、子供達に伝えて行きたいと心掛けています。
お寺での生活を体験すると、いかに普段の生活が自由気ままに過ごしているかがわかります。私にとっても、よい修行になりました!
マイ(小1)は「来年は絶対ママと行く!」と張り切っていますが、普段の生活を見ていると、少々心配です。
【子供語録】
帰省中、カラオケでマイが、AKBの「会いたかった」を歌う。その後家でババが、シン(2才)に向かって「会いたかった(続けて3回)、シンちゃんに~。」
シン「会いたかった、ババに~。」
思わぬ返しに、ババ、大感動。
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この記事は、東京新聞にて中倉彰子が連載している「子育て日記」と同じ内容のものを掲載しております。
:『東京新聞』2012年8月24日 朝刊
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