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連載:東京新聞「子育て日記」 2016年11月11日

将棋の始まりは他者への感謝 -プロ女流棋士中倉彰子 子育てブログ

中倉 彰子

以前に母校の法政大学の入学式で祝辞を述べる機会を頂いたのですが、そこで、お世話になったの大学の先生に久しぶりに会うことができました(^ ^)

当時の懐かしい話などをしていたのですが、その先生が有志の会で、親鸞の教えが書かれている「歎異抄(たんにしょう)」の読書会を開催してくれたことを今でも覚えています。

また、先生と最近の学生についての話題になったのですが、「他者の存在を考えることができない」学生が増えてきたように思う、とおっしゃっていました。そして私はその時、改めて「将棋はいいかもしれないな」と思いました。

将棋の対局は他者への感謝から始まります。
将棋の対局は他者への感謝から始まります。

なぜなら、将棋は、まず相手がいないと対局ができません。最初に「お願いします」とお互い一礼するのは「他者へ感謝です。」

また将棋は、1対1の勝負ですが、その中で、一方的に攻めてそのまま勝ちきるということはまずありません。

相手に「ここの部分は譲りますが、ここは頂きます」と、少しづつ駒得をして積み上げていきます。自分だけ良ければ、という自己主義だけでは、決して勝利にはむすびつきません。

話は変わって、私の生活についてです。ワーキングマザーにとって大変なのは、子供を風邪などの病気で、保育園を休せないといけない時ではないでしょうか。

朝の時間。まず保育園への欠席連絡。病院の予約。そして手帳とにらめっこをして、ここ数日の仕事がきちんとまわるかの調整。

「対局」など、もっとも大事な仕事のときは、主人に自宅での研究にしてもらって、万が一子供達が休んでも大丈夫のように設定しているのですが、対局以外で、代理がきかない仕事の場合は、育児を主人また、他の人に頼めるかを考えなくてはなりません。

元気な方の子どもの保育園の送迎は?などなど調整していきます。

実は先月、我が家も、流行のインフルエンザにかかってしまいました。最初は、末っ子のシン。そして次女のマキ、最後に長女のマイと下から順番に。

主人も体調が悪い様子だったのですが、やっぱり母は強し。私だけが、なんとか大丈夫でした。保育園の先生からも、「ママは大丈夫?」と心配してくれましたが、全員かかるわけにはいかないと気がはっていたのかもしれません(^_^;)

自宅にいる子ども達は、かかりはじめは、さすがにつらそうですが、回復すると、家にずっといるのに飽きてしまいます。

保育園では特に、この病気の場合は〇日休んでから登園。という規定があるので、回復し、元気なのですがずっと自宅にいないといけません。

「ねー、どこかに遊びに行きたい~。」「テレビみていい?」など。結局私が遊び相手をしていないとテレビ三昧になってしまいます。

そして、最後にかかった長女のマイもようやく学校に登校することができ、やれやれ、とひと息ついた時に、身体がぞくぞく。ほっとした瞬間に、今度は自分がかかってしまいました(^_^;)

そんなことで、半月はあっという間に過ぎて行きました。

*
この記事は、東京新聞にて中倉彰子が連載している「子育て日記」と同じ内容のものを掲載しております。
:『東京新聞』2014年4月18日 朝刊

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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