将棋を教える 2018年12月27日
幼稚園児でも大丈夫!子どもが将棋を好きになる練習法5つ
5歳くらいのまだ幼稚園くらいの子どもたちに、将棋を教えたいが「落ち着いて座ってくれない」「どういう教材を使って教えればいいのか分からない」と思われている保護者の方や指導者の方は多いのではないでしょうか?そこで、今回のいつつブログでは、どうすれば「1時間くらい座って楽しく将棋が学べるのか」について、今、私がいつつ将棋教室で、初心者向け将棋テキスト「はじめての将棋手引帖1巻」を使いながら、実際に年長さんの男の子に将棋を教えているときに工夫しているポイントを紹介していきたいと思います。
1.男の子にはゲーム性を取り入れてあきない工夫を
経験として、女の子は比較的スムーズにテキストに沿って、解説→問題を解いてもらう→丸付けという流れで進めることができます。その一方で、男の子はというと、なかなかそうはいかないと感じることも多いです。通常通りのレッスンでは、あきてしまう、つまらない、他のことに興味がいってしまう、となりかねません。そこで、未就学児の男の子へは、さまざまなゲーム性を取り入れながら本将棋を学べるように工夫しています。男の子は戦うことや競うことが好きな傾向にあるので、その部分を活かしながら指導をしていきます。
2.ハンコを使って楽しく効率よく
「はじめての将棋手引帖1巻」では、駒の種類と駒の動かし方から教えていきます。ドリルなので「駒が動けるところに◯を書いてください。」という設問があるのですが、まだ小さな幼稚園くらいの子どもたちにとっては、鉛筆できれいに丸を書くのも大変ですよね。それでも、最初のうちは集中力があり、拙いながらも頑張って◯を書いてくれているのですが、それが次第にだんだんと大きくなったり、歪んだ◯になってしまったり、しまいには、鉛筆で違うところをグリグリとぬったり・・となってしまいます。お絵かきなんてしだすと将棋から離れてしまいかねませんよね。
そこで、おすすめなのが「ハンコ」です。ハンコならポンポン押せるし、イラストのハンコだとなんだか楽しい気分になりますよね。私も前回「ごまちゃんハンコ」で押してもらったら「ごまちゃんがいっぱいだ!」と言って喜んでくれました。
3.シールで目に見える達成感を感じてもらう
「はじめての将棋手引帖」シリーズの表紙の見開きには、シールを貼る表があります。1レッスンが終わったら、その日のところに好きなシールを貼れるようになっているのですが、台紙にシールを集めることで、学習がどこまで進んだのか、子どもたちにも一目で分かるようにしています。
写真はシンプルな赤いシールですが、子どもたちはみんなシールが大好き、「今日は4つ進んだから4つ貼れるね!」と目をキラキラさせています。
このような子どもたちの姿を見ていると、日々の達成感はやはり大切なんだなー改めて思います。また、レッスン前に「今日は4つ進みたいね。ここまで貼りたいね。」と予め伝えてからテキストを進めると、本人も「今日は4ページ頑張るぞ!」とモチベーションをあげてくれるのも、この方法のいいところだと実感しています。
ちなみにこちらは余談ですが、教室で使っている赤いシールがなんだか「いくら」にみえるので、子どもたちには「いくらシール」と呼ばれています。手元にかわいいシールがない場合は、こんな風に呼び方を工夫してみるのも子どもたちのやる気スイッチを入れる方法の1つかなと思います、笑。
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テキストとシールが一緒になったセットもあります
4.たまには小さな将棋盤でテンポアップ
将棋を終わるには、対局者のどちらかが相手の王様を捕まえなくてはいけません。将棋では、実際に指しながら成功体験を積み重ねるということが大切なので、王様の捕まえ方を覚えるには、王様を捕まえるという体験をたくさん積み重ねないといけないのですが、まだ幼稚園くらいの子どもたちのような初心者どうしの対局では、いつまでたってもどちらの王様も捕まらないということが珍しくありません。そこで、「はじめての将棋手引帖」1巻では、22日〜29日目にかけて相手の王様を捕まえる練習をするのですが、相手の王様を捕まえるための実戦では5☓5の将棋盤を使います。「王手をかける」「王様を捕まえる」など練習する際は小さい盤の方が、ゲームの時間が短くテンポよく進めることができるからです。また、子どもたちと私が王様を捕まえる練習をする場合は、先生側は、駒はとらないというルールで進めるようにしています。
但し、将棋は囲碁などとは違って、盤を小さくすることで「成り」のルールが変わってしまいます(囲碁は初心者用には9路盤、そしてだんだんと広げていくことができ、かつルールがかわらないのがうらやましいところです。)。例えば、通常なら三段目でなるところを、5☓5の将棋盤を使う時は一段目でなったりするので、幼稚園くらいの子どもたちが間違って将棋のルールを覚えてしまわないか、しっかり習熟度を見極めた上で教えるようにする必要があります。
5.とにかく本人が好きなものに例える
最初にお話した、今いつつ将棋教室に通ってくれている年長さんの男の子は魚が大好き。普段の会話でもいろいろな種類の魚の名前がでてきます。そこで将棋も魚のように好きになってもらおうと、駒の動かし方を彼の好きな魚に例えてみました。「飛車はたくさんうごくからカジキマグロみたいだ!」「金はエイみたい」などなど、この際、大きさや動きが例えたものとそぐわなくても全然OKです。
先日は「おにかさご」や「みのかさご」なんて名前もでてきて、私も勉強になります。「みのは将棋の囲いでも美濃囲いというのあるよ!」なんて盛り上がりました。
駒の動きを、子どもたちの好きなものに例えると会話もはずみます。一応私の中では「金はきのこの動き、銀はバンザイ!」など持ちネタはあるのですが、少人数で教える場合は、そのお子さんが好きなものに例えたほうがより楽しそうです。電車が好きなら電車の種類。ヒーローモノが好きならヒーローの名前。どんどんお子さんの好きなもの興味があるものを引き出して、結びつけてあげてください。
番外編
将棋の指導ではないのですが、まだ幼稚園くらいの小さな子どもたちに集中して将棋に向き合ってもらうのに効果的だったのでこちらも紹介したいと思います。
ごろんチケット
1時間将棋盤に向かって集中し続ける。幼稚園児の子どもたちにはちょっと大変ですよね。
実はいつつ将棋教室の東京府中校は、フローリングに座布団なので、後ろにごろ〜んと寝転がりやすい環境でもあります。本人もなんとなく「いけないことかなー。」という認識はあるものの、ついごろ〜んとなってしまうこともあります。
レッスン中にごろ〜んとなるのは、決して褒められたことではないので、単純に「だめだよ!」と注意しても、子どもたちは言うことを聞かないどころかつまらない気持ちになってしまいます。そこで「ごろんチケットは2枚までね。」と伝えています。
すると「え?いいの?」という顔になると同時に「1枚使お〜かな〜。でもとっておこうかな。」なんて自分で考え、こちらが「今、頑張ったから使っちゃえば。」なんて言うことも。最近では、自分へのご褒美として使うためレッスンが終わるまでチケットをとっておこうと、レッスンを最後までしっかり頑張っています。ちなみに年長さんになったらチケットは1枚にする予定なのですが、笑 。
ルールさえあれば、まだ小さな幼稚園の子どもたちでもそれを守ることはできます。単純に「やっちゃだめ」というよりも、どんな風に行動するといいのかを示してあげるのが効果的かと思います。
さて、今回は幼稚園くらいの子どもたちに対して私が日頃将棋教室で実践している工夫についてお話させていただきましたがいかがでしたでしょうか?小さな子どもたちにに教えることは、小学生に教えるより理解度がもちろん遅いので通常の指導法では大変です。ただ、将棋に興味がない子どもたちに将棋を教えるのはかなり難しいですが、将棋に興味がある子どもたちなら年齢は関係ありません。ゲームの要素や会話を入れながら進めていけば、言ってみれば白いキャンパス、素直に指導者の言うことを吸収してくれる年齢でもあるので、将棋が楽しいという気持ちのまま、成長してくれると思います。
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