連載:全国将棋道場巡り 2020年4月6日
結果に結びつけられるように〜芦屋将棋サロン〜
日本全国津々浦々、女流棋士中倉彰子(以下彰子)といつつのスタッフが全国の将棋道場・将棋教室を訪れる「全国将棋道場巡り」。今回はいつつ将棋教室神戸元町校のお隣のまち芦屋市にある芦屋将棋サロンに行って来ました。
今回インタビューさせていただいたのは、席主を務める中拓海さん(以下中さん)です。
教えるのが好きで将棋サロンを開校
彰子:こんにちは。今日は宜しくお願いします。JR芦屋駅から歩いてきました。徒歩5分と近い場所ですね。中さんといえば、妹さんは奨励会員の中七海さんですよね。以前、リコー杯女流王座戦の会場でお見かけしたことあります。現在奨励会二段とはすごいですね。ご兄弟で一緒に将棋を指しますか?
中さん:昔はよく一緒に指していたのですが、最近はそうでもないですね。
彰子:ご兄妹で将棋を指されるということは、ご家族で将棋を指す人がいらっしゃったのでしょうか?
中さん:いえいえ。私が将棋をはじめたきっかけは、小学校の授業の一環としてボードゲームをした時です。同級生に元奨励会三段の石川泰さんがいたのですが、石川くんに誘われてはじめて将棋に触れました。
彰子:そうだったんですね。
中さん:その時は歩三兵(駒落ちの一種。上手が玉と歩3枚だけ)での対戦でしたが、当時の石川くんがアマ初段くらいだったこともあり、全然勝てませんでした。それで、家の近くにあった将棋教室に連れて行ってもらい、通うようになりました。その後、妹に将棋を教えました。
彰子:私も妹と一緒によく将棋を指していましたが、兄弟姉妹で将棋ができるといいですよね。もともと、中さんは教えたりすることが好きだったんでしょうか。
中さん:そういう一面はあるかもしれません。
彰子:将棋サロンを開校されたのもその一面が影響しているのかもしれませんね。
上級者の指導が専業でできる
彰子:将棋サロンを開校したのは最近ですよね。
中さん:はい。今年の2月にオープンしたばかりです。一般のサラリーマンだったのですが、いつか将棋教室をやってみたいという思いはずっとあったので、開校資金が集まったタイミングで思いきって自分の将棋教室を持つことになりました。
彰子:お子さんはいらっしゃいますか?
中さん:まだオープンしたばかりなので多くはないのですが、小学校高学年から中学生くらいの生徒が多いですね。
彰子:え?高学年から?通常の将棋教室の子ども教室より年齢層が高めなのですね。
中さん:そうですね。初心者向けのクラスが準備中で開設前のため、今の時点ではある程度棋力を持ったお子さんが中心に集まっている印象です。
彰子:先に有段者やある程度棋力のあるお子さん向けのコースを作ったのはなぜでしょうか。
中さん:昨年の夏に、知人の将棋教室をお借りして、奨励会試験に向けた特訓講座のようなものを開講させていただいたのですが、この時、すごくやりがいと手応えを感じたからです。
彰子:結果はどうだったのでしょうか。
中さん:もともと強い子達というのこともありますが、6名受験して5人合格しました。この時受講してくれたお子さんが今でもここのサロンに通ってくれています。
彰子:それはすごいですね!
中さん:ありがとうございます。アマ四段以上を教えている教室はあまりないと思いますので、私としてはそちらを専業でやっていきたいと思っています。
日々研鑽
彰子:普段はどのようにして指導されているんですか?
中さん:人数が少ない時は指導対局を中心にしています。他にも、一番上のクラスでは、この教室内での対局や研修会・奨励会の棋譜などをメールで送ってもらい、後日添削して返却しています。
彰子:そういえば、「中研究会」というのは面白いですね。(アマ四段以上対象の将棋教室)
中さん:はい。今は8人ほどの入会者がいます。この「中研」では非常に高いレベルの生徒を指導しているので、指導する側も専門的な知識や最新形を抑えておく必要があります。強い子には嘘を教えるわけにはいかないので、将棋の勉強については、日々怠らないよう心掛けています。
結果を残せるように
彰子:素晴らしいですね。今はまだはじめたばかりですが、将来的にこんな将棋教室にしたいという構想はありますか
中さん:まずは人数を増やしたいということもありますが、せっかく将棋教室に通ってもらっていただいてるわけですから、ここで学んだことを結果に結びつけることができるような指導がしたいと考えています。生徒の中には、今年の小学生名人戦の県代表やプロを目指して奨励会で戦っている子もいるので、大きな成果を挙げてくれるといいなと思います。
編集後記
私が到着した時は、一人の男の子が中さんの指導対局を終え、お母様がちょうどお迎えにこられた時でした。手つきも立派なので「強うそうだな」と思って眺めていましたら、それもそのはず、小学4年生で研修会の上位クラスに在籍しているとのことでした。こちらには電車で30分程かけて通っているとのことでした。
「上位者を教える、というすきま産業でやっていきたいと思っています」と笑顔で話す中さん。私はこのとき、コーチという存在が頭に浮かびました。
将棋は、コーチという存在がメジャーではありません。勉強方法も練習メニューも健康管理も、全て一人でやっていく、それも含めて自分の頭で判断するのが大事、という考え方があります。ただ、他の競技に目を向けてるとアスリートの世界でも、チェスの世界でも「コーチ」というお仕事があります。
中さんは、選手の良さを引き出し、時に励まし成長させてくれる「コーチ」のようなお仕事をされていくのではないかなと思いました。
妹さんの奨励会での活躍も楽しみですね。
本日はありがとうございました。
教室案内
道場名称 | 芦屋将棋サロン |
場所 | 兵庫県芦屋市茶屋之町6-19ベンリー芦屋202号室 |
時間 | HPにて詳細ご確認ください。 |
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