株式会社いつつ

将棋を楽しむ 2016年6月27日

プロ棋士が教える!子どもが将棋に飽きたときにやる気スイッチを入れる5つの方法

中倉 彰子

お勉強やお手伝い。

子育てには、子どもがせっかくやりはじめても、集中力ややる気が持続せず、すぐ飽きてしまうというような場面が多いように思われます。しかも、子どもが一度モチベーションを落としてしまうと、もう1度やる気を取り戻してもらうのに苦労をしますね。

私は、定期的に子どもの将棋教室で講師をしているのですが、これは将棋においても同じです。

長時間指していたり負けが続いたりすると、どうしても子どもたちは将棋に飽きてきたりやる気がなくなったりするものです。

そこで今回は、私が子どもの将棋教室で実践している、1度やる気をなくした子どもたちに再びやる気を出してもらうための方法についてお伝えしたいと思います。

1.勝ち体験をさせてあげる。(きれいに負けてあげる)

まだ勝てる!と教えてあげることで子どもは再び盤と向かいあいます。
まだ勝てる!と教えてあげることで子どもは再び盤と向かいあいます。

子どものやる気スイッチを再び入れてあげるには、やっぱり「勝つ」という体験をさせてあげることが1番だと思います。

私も将棋教室の子どもたちや自分の子どもとよく将棋を指すのですが、私の方が優勢になると「どうせ負けちゃうから」といじけることがよくあります。

しかし、すぐに諦めてしまってはなかなか上達するのは難しいですよね。

そこでこんなとき、すぐに子どもたちの玉を取りに行かずに「この駒をこう動かしたらこうなって、まだ勝つ方法はあるよね」とヒントを出すようにしています。

そうすれば、さっきまで落ち込んでいた子どもたちは「どうやったら勝てるのか」について再び考え出します。

過去のいつつブログでも上手な負け方についての記事があるので、よかったら読んでみてください。

2.詰将棋をどんどん出す

どんどん玉をとって達成感を味わおう。
どんどん玉をとって達成感を味わおう。

詰将棋のいいところは、達成感があると同時にどんどん数をこなせるという点です。

しかし気をつけなければいけないのは、子どもたちが「解ける」問題を出してあげるということです。もし5手詰めが難しいようなら3手詰めを、3手詰めが難しいようなら1手詰めをといった感じです。

問題が1つ解けるごとに、スタンプを押してあげたり、シールを貼ってあげるというのも、子どもが飽きずによりやる気出すための1つの方法だと思います。

私が教室で詰将棋を出す時は、「カードde詰将棋」を使います。講師がどんどん問題をだしてあげてもいいですし、例えば生徒二人に、5枚ずつカードを渡して「よーいドン」と言って競わせます。

子どもはゲームになるととたんにやる気がでてきます。本当にこれは実感します。

詰将棋早解きゲーム!とするとドンドン解いていきます。

保護者と競争してもいいですね。

 

3.他の年齢の人と指す(おじいちゃんとか)

将棋の楽しさは年齢の壁も超えます。
将棋の楽しさは年齢の壁も超えます。

将棋の対局は1対1の真剣勝負。一方が勝てばもう一方もは負けてしまうわけで、その負ける相手が同年代や歳下の子だったりするとやっぱり悔しいですよね。

そんな時にいいのが違う年代の人との対局です。特に普段話す機会のない年長者との対局は、経験が多い分学ぶところも多いし、何よりいい気分転換になります。

以前私の子どもと父で将棋を指していました。おじいちゃんと孫と、とても歳が離れているのですが「じじから振り飛車教えてもらったよ」ってとても嬉しそうにしていました。

こうやって世代を超えて、対面でコミュニケーションがとれるのも将棋ならではですね。

4.自分のペースで

将棋教室で子どもたちに将棋を教えていると、対局を嫌がったり、詰将棋を嫌がったりという子もいます。

このようなとき、私もどうしたらやる気をだしてくれるかなと悩むのですが、「無理をさせないこと」「さりげなく声をかけ続けること」かなと思います。

特に対局を嫌がる子は、負けるのがいやで指さない、ということが多々あります。ですので、日頃から講師が「勝ち負けは気にしない」「対局をすることが大事」としつこいくらいに何度も繰り返し伝えておくのも大事だと思います。

教室では、休憩スペースに将棋の本を何冊か置いて「休憩してからでいいよ」「対局ができそうになったら声をかけて」と伝えておきます。少し時間を置いたり、他のお友達との対局をみたりして、気分転換ができると、そこはもともと将棋に興味があるお子さんですので、「やってみる!」と声をかけてきます。

小さなやる気がでたら、しめたものです!その時は「いいね!やってみましょう!」と対局を促していきます。

その子にあったペースで進めていくことが大切かなと思います。

5.将棋大会に出場してみる

子ども将棋大会の様子
子ども将棋大会の様子

将棋大会というと、将棋強くないと出ちゃいけないと思っている方けっこういらっしゃるかと思うのですが、実はそうでもありません。

小さい子だと5歳から、将棋のルールを知っていて玉を捕まえられたら初心者でも参加できるんです。テーブルマーク主催の子ども将棋大会「テーブルマークこども大会」は、昨年参加者が1万人を超えたというのが話題になっていました。

さて、なぜ将棋大会に出場するのがいいかというと、「大会に出て1勝する」など、子どもにとっての目標が見つけやすいからです。

実際に私の子どもも昨年11月に初めて将棋大会に出たのですが、参加登録した段階から子どもたちどうしで盛り上がっていました。

ちなみに、子どもが出場することで親のやる気も出るというのが将棋大会のいいところです。普段見ることのない子どもの真剣な顔や緊張した姿が見れたり、帰り道に一緒に感想戦などをすると一緒に参加した気持ちになれます。

さて、色々書いてみましたがいかがでしたか?

もし、近ごろ子どもたちが将棋に飽きてきてるなっと思ったら試してみてください。

また最近はオンラインでの大会も多くなってきました。親睦クラスや、初級者クラスなど初めてでも参加しやすいようにクラスを設定してある大会もありますので、ぜひ挑戦してみください。

いつつもオンライン校を設立して、全国、また海外からも生徒が参加してくれています。興味があるかたはこちらへ。

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いつつの将棋書籍には子どもたちが飽きずに楽しく将棋を続けるための工夫をたくさん凝らしています。

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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