将棋を教える 2023年10月12日
対局マナー「待った」について
以前NHK将棋講座で「初心者のための対局マナー」というテーマが放映されていました。
スマホやPCで将棋を始めた方は、将棋のルールは知っていても、リアルな対局でのマナーを知らない方も多いと思うので参考になる内容でした。
いつつでも以前「これだけでは覚えておきたい将棋のお作法」「将棋道場デビュー前に知りたいこと5つ」というブログを書きました。いざ、対面で対局をするときに、一体どんなマナーがあるのか、事前に知っていると安心かと思います。参考にしていただけると嬉しいです。
さて、いつつ子ども将棋教室でもマナーの中で、特に「待った」について話をする機会がありました。
1.待ったについて
「待った」とは、一度指した手をやり直す行為です。
小学1年生のI君。手合いをつけている私の隣にきて、目を赤くしながら「相手が待ったをしたんだよ。歩を取ってくれていたら勝ちそうだったのに」と訴えてきました。どうやら相手が歩を取ろうとしたが、それをやめて違う手を指した。そしたらその手が良い手で負けてしまった、とのことでした。
相手に文句を言うとかではなく、先生に聞いてほしかったという感じだったので「それはいやな気持ちになったね」と共感しながらも「I君には相手が待ったしようが何しようが勝てるほどの力をこれからつけちゃおう!」と励ましました。
実際にI君はちょっと前までは、負けて涙目が多かったのですが、最近は切り替えも早く勝つことも多くなっています。
ひっくひっくしながらも、ちょっと納得してくれたのか、次の対局に向かって行きました。
2.手を離した・離していない問題
以前のブログ「子どもどうしの対局で起こりがちなトラブルとその改善策」の”4.手を離した・離していない問題”にも書きましたが、この問題は将棋教室のみならず大会のトラブルとしても一番多いものです。
将棋ガイドブック(日本将棋連盟発行)には、基本ルールとして、「指し手の対象となる自分の駒から手が離れた時を指し手の完了とし、完了後は指した手をもとに戻したり、他の指し手に変更することはできない」と書かれています。
ですので、相手の駒を取りかかったけどやっぱり戻して違う手を指した。というのは厳密にはセーフになります。
ただ、このような「駒を触ったのに戻す」行為は相手に嫌な思いをさせます。
将棋ガイドブックの対局マナーと常識の項目にも「着手完了ではないからとまた相手の駒をもとの位置に戻して再考するのは見苦しい」と書いてあります。
ルール上はギリギリセーフだったとしても、マナーが悪いのはいけません。
駒の手離れが悪いと表現をしますが、手離れの悪さはクセになってしまいます。これから伸びる子どもたちには、「やり直しはダメ」と言うことを徹底してあげたいものです。
そして指し手が完了したら、もうやり直しはできません。
これは「待った」になってしまうからです。
3.駒を置いた瞬間・・
自分の駒を置いた瞬間、別な良い手が見えた。
自分の駒を置いた瞬間、禁じ手(指したら負けになる手)に気がつく。
そんな時、さっと指し手を戻して「待った」をしたくなる気持ち・・わかります。
でもそこは「いさぎよく」あきらめましょうと子ども達には伝えています。
いさぎよく、とは、卑法なところや未練がましいところがない、清らかで気持ちが良い、日本的な美意識を代表する語、とあります。
その時は残念な思いをするけれど、次の対局では着手する前に確認し気をつけて指すようになります。長い目で見れば結果的には、成長につながります。
4.将棋はかっこよく
ただこうも思うのです。
「待ったはだめ」なのですが、教室では反則をされた側が「反則で勝っても面白くないからやり直していいよ」と言ってくれる生徒もいます。やり直しを認めてあげるのも「かっこいいな」と思うのです。
自分は潔くあきらめたけど、相手が許してくれるなら、教室ではそのまま対局を続行をさせています。そうした二人の対局は、勝ち負けという勝敗だけではなく、どうやったら相手の玉を捕まえることができるかを純粋に考えていて学びがあるように思うのです。
5.相手がいるから成り立つゲーム
いつつ教室では、子ども達に、将棋は相手がいて初めて成り立つゲームなので相手に不愉快な思いをさせる態度やマナーはしてはいけない。と伝えています。
対局前後には挨拶をする、指し手を待っている間におしゃべりをしない。
どれもルールではありませんが「相手にいやな思いをさせない」というマナーになります。
マナーを守って対局をすることの大切さを伝えていきたいものです。
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