将棋を教える 2017年3月11日
はじめて将棋に触れる子どもに、分かりやすく将棋を教える工夫5つ
将棋教室や将棋道場では、一般的に対局を通じて将棋の指導が行われることが多いと思います。そのため、「全く駒の動かし方が分からない」や「はじめて将棋に触れる」という子どもたちがやってくると、逆にどのように指導すべきなのか迷ってしまうという指導者の方も少なくないのではないでしょうか?
でも、将棋の楽しさや魅力について1番伝えたいのは、はじめて将棋に触れる子どもたちだったりしますよね。そこで今回のいつつブログでは、はじめて将棋に触れるという子どもたちに、分かりやすく将棋を教えるための工夫をいくつか紹介したいと思います(^ ^)
こちらは、将棋指導者の方向けに作成した記事ですが、子どもに将棋をはじめてもらいたいという親御さんにも役立てると思うので、ぜひご一読ください。
1.まずは将棋の道具に親しんでもらう
さて、今から将棋を始めるとなると、まずは将棋の駒の動きの説明から入る人は少なくないと思います。しかしながら、まだ「将棋ってなぁに?」という段階で、いきなり「飛車は縦横まっすぐ進むことができます」とか「角は斜めにどこまでも進んでいけます」と言われても、将棋を知らない子どもたちからすると「???」という感じになってしまいますよね。そこで、まずは将棋のルールになれるよりも前に将棋の道具、主に盤と駒に慣れる必要があるように思います。私たち将棋の指導者からすると将棋道具というのは日常的に側にあるものですが、将棋自体になじみのない子どもたちにとっては、難しい漢字が書かれた駒や、ただ四角いマス目が書かれただけの盤は、専らとっつきにくいものなのではないでしょうか。
そこで、私の場合は、駒の動きかたに入る前に、まずは、将棋の駒や盤を使った簡単なゲームをするようにしています。例えば、1番簡単なのが「歩」と「と金」しか登場しない「挟み将棋」、その次に駒の動かし方を知らなくてもできる「やまくずし」や「回り将棋」などがあります。どれも簡単なルールなので、「将棋をするのが初めて」という子どもたちどうしでも、指導者の指導なしで楽しめるというのもいいところだと思います。ちなみに、回り将棋は、各地方で少しずつルールが違っているようなので、毎回ルールを変えながらゲームを楽しむというのも将棋を飽きさせないための1つの工夫かと思います。
2.専門用語は極力使わない
これも私たち指導者にとっては日常すぎて気付かないポイントの1つなのですが、将棋の専門用語は、案外一般の方の日常生活に浸透していません。私もついつい、「しょうてんの歩といっても笑点ではないよ。ハイ、座布団1枚!」「垂歩といっても焼肉のタレとはちがうよ。」みたいな将棋ギャグを使ってしまいがちなのですが、子どもたちは「・・・」寒い風がふきますね、笑。
例えば、将棋用語の「成る」というのがありまあすが、最初のうちは「裏返す」「ひっくり返す」などと表現するようにしています。また、「成る」同様に「駒を打つ」は「自分の持っている駒を使う」、「駒の符号」は「駒の住所」、「囲い」は「王様のお城」と子どもたちがよりイメージしやすい言葉に置き換えるようにしています。
ある程度将棋の世界に身を置いていると、どこからどこまでが将棋用語でどこからどこが通常の日本語なのか境界線が曖昧になってしまうし、子どもたちもいずれは将棋用語を覚えなくてはならいのですが、それでも極力専門用語を使わないように意識するかしないかで、まだ将棋に慣れていない子どもたちの理解の早さは変わってくることかと思います。
また、少し話が脱線しますが、相手が幼稚園くらいの小さなお子さんだったりする場合、将棋用語はもちろん、そもそも漢字が分からないということもあるので、レッスンの時もテキストを作成するときも、必ずふりがなをふるようにしています。将棋用語であるにしろないにしろ、相手に伝わる言葉でないと意味がないですよね。
3.教えることとゲームをワンセットに
私ももちろんそうなのですが、将棋を生業にするくらいですから、皆さん将棋が大好きで、子どもたちに伝えたいことがたくさんあることかと思います。しかし、学生時代をよく思い出してみると、学習したことがちゃんと身につくのは、先生の話を聞いた時ではなく、家に帰って宿題をした時、つまり自分の頭と手を動かした時だったように思います。なので、私の場合は、子どもたちがちゃんと身体で将棋を覚えられるように、説明はそこそこに、子どもたちに実際に将棋盤駒に触れてもらう時間というのを大切にしています。例えば、いつつHPでもおなじみの将棋パズルを出題したり、「よ〜いドンッ!!」で一斉に4段目に並べた盤上の駒を成る競争をしたり、王様とりゲーム(金1枚で玉を捕まえるゲーム)をしたりしています。小学校くらいまで大きくなれば、家に帰ってから自分で復習をするという習慣を身につけることができますが、特に幼稚園くらいの小さい子の場合はそういうわけにもいかないので、できる限りその場で、手や頭を動かしてもらう、そして飽きないよにうに楽しんでもらうように心がけています。
4.スモールステップで
スモールステップのいいところは、学習する側にとっては無理なくマイペースにできるというところ、そして指導する側にとっては、どこで子どもたちがわからなくなっているのか、そのつまずきポイントが見つけやすいところだと思います。指導者レベルまで将棋について精通してしまうと、今度ははじめて将棋に触れる子どもたちが「何がわからないのか分からない」という現象に陥る人も少なくありません。
方法としては、少し教えてはプリントなどの演習問題を挟むことで、子どもたちのつまずきポイントを細かくチェックすることができます。私もいつつ将棋教室でスモールステップで構成されたいつつのオリジナルテキスト「はじめての将棋手引帖」を使いながら講座を進めているのですが、解いてもらうことで「あ、こういうところで間違えやすいんだ。」と発見することができます。もちろん、イベントなどでも、分からないところがあれば、遠慮なく声をかけてもらってもいい、ということは予め伝えているのですが、子どもたちからすると「こんなこと質問していいのかなぁ」と躊躇ってしまい、なかなか聞きたいことも聞けないというのが現実かと思います。
スモールステップで学習内容を区切ることで、プリントが多くなるなど手間もかかってしまうという点もあるのですが、プリントは単に問題を解かすためのものではなく、丸つけをしてあげたり、100点をつけてあげたり、コメントを書いてあげたりなどなど、子どもたちとのコミュニケーションツールにもなります。使い方によっては、子どもたちのモチベーション維持にもなるので、ぜひ色んな工夫を盛り込んでください。
5.たまには将棋以外の話も
将棋教室で将棋以外の話をすると雑談になる。いえいえ、そんなことはありません。将棋に触れたことがないイコール、それはまだ将棋の魅力を知らないということです。そんな子どもたちに一方的に将棋の話を持ちかけても子どもたちは話に入れず心が離れていくばかりです。
そこで、まずは、例えば学校の話やクラブ活動のこと、もしくはお休みの時に出かけたところなど、将棋以外で子どもたちが興味を持てそうなこと、積極的に話せそうな話題を振るようにしましょう。まずは子どもたちと仲良くなってから、を意識しています。私も子どもたちの世界を知ることができてとっても楽しい時間ですしね。大人になっても知らない世界に飛び込むというのはとても勇気のいることです。ましてや子どもだとなおさらですよね。まずは、指導者の側から歩み寄って子どもたちに興味を持つことで、子どもたちに心を開いてもらうと将棋指導もスムーズにいくように思います。
さて今回は、将棋に初めて触れるという将棋入門者の子どもたちに将棋を教える工夫について書いてみたのですがいかがでしたでしょうか。世の中には、まだ「1度も将棋に触れたことがない」という子どもたちがたくさんいると思うのですが、そんな子どもたちに上手く将棋の魅力を伝えることで、もっとたくさんの子どもたちに将棋を楽しんでもらえるといいですよね(^ ^)
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いつつオリジナルのはじめての将棋手引帖は、はじめて将棋に触れる子どもたちに、無理なく楽しく将棋を身に付けてもらうことにフォーカスを当てた初心者向けの将棋ドリルです。
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