将棋を楽しむ 2017年4月4日
かっこいい名前の囲い5選
将棋とは戦いを模したゲーム。対局を行う二人が、一国一城の主となり、知略をめぐらせながら序盤・中盤・終盤という3つの場面をより効果的に進めることで相手の王様を狙います。
さて、1局の流れの中でも特に重要になるのがはじめての将棋手引帖3巻で学習する序盤です。序盤では、「いざ開戦!!」に備え、敵陣に攻め込む準備をし、同時に自分たちの大切な王様を守るための頑丈な城を築きます。そして、将棋において、この王様を守るための城にあたるのが「囲い」と呼ばれるものです。
別名「白鷺城」と呼ばれる真っ白な姿が美しい姫路城、太閤秀吉の当時の権力がうかがえるような巨大な天守閣が印象的な大阪城、豪華絢爛な金のしゃちほこをシンボルとする名古屋城などなど、日本には様々な容姿、用途を持ったお城が存在しますが、それは将棋においても同様で、将棋のお城にあたる囲いにも様々な姿・目的、そして名前を持ったものが存在します。
そこで、今回のいつつブログでは、数ある囲いの中でも、特に名前がかっこいいものを5つ集めて紹介したいと思います*\(^o^)/*
(※あくまで個人的好みなので、「それ別にかっこよくないよ」という人がいらっしゃったらすみませんm(._.)m)
ちなみに、名前がかっこいいからといって必ずしも実戦で役立つというわけではないみたいなのですが、「役立つ」「強い」以外にも「かっこいい」や「かわいい」などの切り口で将棋に接することで、将棋がより身近で楽しいものになるのではないでしょうか(^ ^)
1.天守閣囲い
いかにもお城っぽいネーミングですよね、笑 美濃囲いの一種なので、天守閣美濃とも呼ばれます。
天守閣美濃の最大の特徴は、なんといっても王様が高い位置にいることです。通常の囲いだと、玉の位置は1・2段目になるのですが、この囲いでは三段目。まさに天守閣(お城の高い位置)から「えっへん!」とみんなを見下ろしているわけですね。
さて、この天守閣美濃ですが、主に自分が居飛車戦法(飛車の位置を動かさない)のときに用います。王様から見て右方向には守りの要となる金将や銀将が配置されており、横からの攻撃に強いという長所がある一方で、縦からの攻撃に弱いという短所があります。確かに、せっかく城の上まで登ったのはいいものの、頭を守っているのが歩兵ばかりではなんとも心もとないですよね(^_^;)
2.金無双
なにやら武将の必殺技のような名前ですが、実際にこの囲いでは、二人の武将、(金将2枚)が大活躍することからその名がつきました。写真を見ると確かに王様の隣にぴったりついてしっかりお守りする感じですよね(^ ^)
さて、この金無双の囲いの特徴についてですが、名前がかっこいいだけではなく、特に相振り飛車の実戦で使いやすいという点が挙げられます。
先ほども述べたように、玉の左隣に2枚の金がピタリと並んでくっついているので、長所としては、王様の両脇を金と銀で固めているので上からの攻撃に強いことや、最短5手と簡単に組めることなどから初心者の子どもたちにもおすすめなので、新しい手引帖の3巻にも追加しました。
但し、いいところもあれば悪いところもあるというのは囲いも同様で、お城の横側から敵軍に攻め入られた時に王様の逃げ道がなくなってしまうことや、自分と相手の双方が振り飛車(飛車を5筋より左に移動させる)の時にしか使えないという欠点があります。
将棋は駒と駒のチームワークで勝利を引き寄せるもの。ついつい頼りになるからといって金将ばかりに任せきりではダメですね(^_^;)
3.ミレニアム
ここに来て、将棋らしからぬ少しおしゃれな響きの囲いが出てきました、笑
ミレニアム囲いは、その名の通り、2000年に登場したことからついたものです。通常金銀3枚で囲いを作るところを、4枚の駒をつぎ込み、まるでバリケードのごとく鉄壁な要塞を築くことから、「トーチカ」「かまくら」といった別名も持ちます。
ミレニアム囲いは、とにかく守りが固いので、相手がどんどん攻め込んできても、ある程度持久力を保つことができます。しかしながら、およそ30手と言われる序盤のうちに、最低15手を割かなくてはいけないので、通常の場合、この囲いの形が完成する前に相手の攻めにあい、なかなか完成させることができないというデメリットがあります。
コードネームがたくさんある上に、滅多にお目にかかれないとなれば、なんとも21世紀型の囲いというような気がしてきますね。
4.ビッグ4
こちらもまた今風、横文字の名前です。写真を見るとよくわかるのですが、ビッグ4の「4」とは、王様のすぐそばに鎮座する金銀4枚の駒を指します。
ビッグ4の特徴は、先ほど「とにかく守りが固い」と紹介させていただいた「ミレニアム囲い」をさらに上回る頑丈さです。通常、王様を捉えようと思うと王様の周り、特に写真の場合だと8八金を攻めるわけなのですが、8八金を狙おうとした場合、さらにその周りにいる金銀3枚を倒さなくてはなりません。大物4人ががっちり組んだスクラムを崩そうと思うと、持てる戦力全てを費やし総攻撃を仕掛けたとしても、なかなか突破できそうもないですよね(^_^;)
さて、囲い界最強の呼び名が高いビッグ4ですが、こちらもミレニアム同様で囲いを完成させるまでに相当な手数がかかってしまうという欠点があります。その数なんと最短で19手。確かに、ビッグな4人を一堂に会する、まるで各国首脳会議のような機会なんてそうそう設けられるものではないですよね。
5.銀冠
1や2のような派手さ、3や4のようなトレンド感があまりないネーミングではあるのですが、銀冠こそ将棋界きってのトップスターであると言えます。
囲いとしての機能を評価する指標は大きく分けて「固さ」と「広さ」の二つです。固さとは、王様の周りをどれだけ固められているかであり、広さとは王様の逃げ道がちゃんと確保されているかです。銀冠の場合、確かに金銀3枚でしっかり王様を守っており、左側には王様の逃げ道が確保されていますよね。
また、銀冠は美濃囲いの進化版なので、ミレニアムやビッグ4のように、ほぼ実現不可能なほど手数がかかるわけでもなく、また、相手と自分が居飛車と振り飛車のどちらであっても対応できるという意味でとても汎用性のある囲いなのです。
確かに某国民的アイドルでも、セレブ感溢れる華やかなタイプよりどこか親近感の湧く平凡な感じのタイプの子の方がくの得票数を集め、人気投票でも上位にいるイメージですね( ´ ▽ ` )ノ
さて今回は、将棋の囲いの中でもかっこいい名前のものをいくつか紹介させていただきましたがいかがでしたでしょうか?
さすがは、はるか昔から続く日本の伝統文化である将棋。受け継がれゆく中で格調高いものからちょっと今風のものまでいろんな囲いが登場したみたいですね(^ ^)
今回は、もう既に開発されている囲いについて5つ紹介させていただいたのですが、冒頭でも少し触れたように囲いにはもっとたくさんの種類があり、なんなら自分で自由に駒を組みながら、オリジナルの囲いを開発するのも楽しいような気がします。
また、囲い以外にも、将棋にはおもしろい言葉がたくさんあります。いつつの商品も、このような言葉に親しむことで、子どもたちにもっと将棋を好きになってもらいたいという思いを込めています。
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