株式会社いつつ

将棋を学ぶ 2017年9月11日

将棋教室に通う理由

中倉 彰子

将棋の盤と駒、一緒に指す相手さえいれば、将棋を指すことができます。近年では、将棋アプリなども普及したので、何なら、これら全てがバーチャルであったとしても、将棋を指すこと自体は可能です。

昨今の将棋ブームの影響といってしまうこともできるのですが、家や学校・学童はもちろんのこと、移動中の電車の中など、いつでもどこでも将棋が指せる環境があるにもかかわらず、子どもたちが将棋教室に通うのは一体何故なのでしょうか?

今回のいつつブログでは、子どもたちが将棋教室に通うメリットについて、普段私が子どもの将棋教室を担当していて感じることや、将棋教室に通うお子さんや親ごさんの声をもとにまとめてみました。

1.子どもの好きなことを伸ばせる人がいる

将棋教室に通うきっかけは、子どもの好きなことを伸ばしてあげたいという親心。
将棋教室に通うきっかけは、子どもの好きなことを伸ばしてあげたいという親心。

「集中力や考える力が養えそう」「礼儀作法が身につきそう」など、将棋はどちらかというと、親ごさんが子どもにしてほしいと思ったことがきっかけで始める競技という印象もあるかもしれませんが、子どもたちが将棋を始めるきっかけは子ども自身が将棋に興味を持ったというケースが、私の子ども教室では多いようです。

親ごさんになぜ将棋教室に来ようと思ったのかをたずねてみたところ、「子どもが学校や学童で将棋を覚えてきて、楽しかったのか、家でもやりたいといいます。ただ、私自身将棋にあまり詳しくなくて、子どもと一緒に将棋を指してあげたり、アドバイスしてあげることができないので将棋教室に来ました」という意見が圧倒的でした。

確かに「指導者がいて、一人ひとりに適切なアドバイスができる」という点は、学校や学童、将棋アプリにはない将棋教室特有の特徴であると言えます。

もちろん子どもに上記のような力がつくことを期待してという親ごさんもいますが、「子どもにもっと好きなことをやらしてあげたい」「子どもの好きな将棋の力を伸ばしてあげるために、ちゃんとアドバイスがもらえるところに連れて行ってあげたい」といった、親心がきっかけで将棋教室にやってくるケースがほとんどのようです。

2.自己流にならないから

将棋教室では、将棋の礼儀作法やマナーがきちんと身につきます。
将棋教室では、将棋の礼儀作法やマナーがきちんと身につきます。

将棋に限った話ではないのですが、子どもどうしの遊びには、同じようなことをしていても、どうしても地元ルールというのか、グループ内で特別なルールができることがあります。

例えば将棋の場合だと、「絶対に王手と言わなくてはならない」だったり、待ったが多かったり、じゃんけんで先手後手を決めるなどなど、本来の将棋のルールや作法とは違った自己流のやり方で突き進んでしまいます。

もちろん、遊びのうちはこれでも構わないのですが、子どもたちがもっと将棋がしたい、もっと将棋が強くなりたいと考えた時に、自己流のルールでは通用しません。なぜなら、将棋道場に通ったり、将棋の大会に参加したりするのに、下手をすると、反則負けになってしまうこともあるからです。

ちなみに、将棋のルールやお作法についてまとめた将棋書籍も世の中には多数あるのですが、文章を読んで頭に入れるよりも、目で見て、身体を動かして、自己流になった時はその場で指摘してもらえる将棋教室の方が、礼儀作法やマナーについては定着しやすいのではないでしょうか。

3.喜怒哀楽を共にできる仲間ができる

将棋教室で共に学ぶお友達は、良きライバル、良き同志になる。
将棋教室で共に学ぶお友達は、良きライバル、良き同志になる。

ママが将棋を指せなくても、ネット環境が広く普及しているこの時代、通信機能を使っていくらでも将棋の対局相手を探すことができます。
しかしながら、ゲームやアプリでしか繋がっていない相手については、棋風や棋力以外のこと、例えば、顔や名前、年齢、どんな風に将棋と向き合っているのかなどについては知る由もありません。

一方、共に同じ将棋教室に通う友だちであれば、お互いのことがよく見えて、よく理解できます。例えば今将棋についてどんな学習をしていて、初めて6枚落ちで先生に勝った時どんなに嬉しかったか、一緒に参加した将棋大会で負けた時どんなに悔しかったかなど、互いの将棋における喜怒哀楽を共有し合うことができます。

同じ好きなものがあるものどうしは、顔を合わせて話をすることで、意気投合し、互いの成長を肌で実感することで切磋琢磨できるのではないでしょうか。私の教室でも、とある5歳の男の子と2年生の男の子がなぜか気が合うようで、お互い毎回「勝負しよう!」と言い、良いライバル関係になっています。

将棋が好きな子どもたちにとって、将棋教室は、良き同志、良きライバルに出会える場所なんだと思います。

4.将棋について有益な情報が集約している

将棋教室には必要な情報が集約しています。
将棋教室には必要な情報が集約しています。

棋力向上のために将棋書籍や将棋テキストが欲しい時、休日に将棋イベントを楽しみたい時、将棋大会に参加したい時、新しい将棋道具が欲しい時、多くの方は、まずネットでそれらの情報について調べると思います。

しかしながら、様々な情報が氾濫する今の時代、将棋について特別詳しくもない限り、どれが自分に本当に役に立つ情報なのか、情報の取捨選択がとても難しいのではないでしょうか?

例えば、「この書籍レビューはいいけど中身までは見れないから本当に分かりやすいのかわからない」「この大会に参加したいけど、うちの子の棋力でついていけるかわからない」などなど、悩みだしたらきりがありません。

そんな時、将棋教室に行けば、そこに必要な情報が集約されています。教室にもよりますが、多くの将棋教室では複数の将棋書籍が所蔵されたミニ図書館のようなものがあります。講師に聞けば、どの書籍のどの部分を学習するといいのか、生徒一人ひとりに合わせてアドバイスをくれるでしょう。また、同じ将棋教室に通う子を持つ親御さんどうしでネットワークを作り、「あのイベントは楽しかった」「あの大会はちょっとレベルが高すぎた」など色んな情報を共有することもできます(^^)

5.子どもにとってのごほうびになる

将棋は子どもたちにとってご褒美のようなもの
将棋は子どもたちにとってご褒美のようなもの

これも、親ごさんから聞いた話なのですが、どうやら将棋教室は、塾や公文、ピアノや水泳といった習い事とは少し位置づけが違うようです。

その親御さんいわく、将棋教室は、塾や水泳などの習い事の合間にいく、子どもへのご褒美のようなものだというのです。

確かに、塾などの学習塾系、ピアノや水泳は、子どもさんの好き・嫌いにかかわらず、親御さんが行かせる(行かせたい)習い事であるのに対し、1でも話したように、将棋は子どもがもっと指したいと思っていくところなので習いごとというより、子どもの趣味や遊びの延長という感覚になるのかもしれませんね(^^)

ただ、将棋教室の場合は、曜日や時間が決まっているので、同じ遊びでもしっかりけじめがつくというのがいいところだと思います。例えば、「将棋教室に行く」というご褒美を「将棋アプリをする」に変えちゃうと、ついつい「あとちょっと」「きりのいいところまで」とズルズル間延びしちゃいそうですよね。

また、親としても、勉強や水泳、ピアノ、宿題を頑張った見返りとして「ゲームしていいよ」「テレビ見ていいよ」というより「将棋していいよ」という方がいいですよね、笑

さて今回は、子どもたちが、あえて将棋教室に通う理由をまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。将棋はまだまだ子どもの習い事として敷居の高いイメージもあるかもしれませんし、書籍やアプリを使いながら独学で棋力をあげていくことも可能です。ただ、将棋教室でしか得ることができないこともたくさんあるので、もしお子さんが将棋に興味を持ち、もっと将棋を指したいと思い出したら、1度将棋教室に通ってみることもご検討ください( ´ ▽ ` )ノ

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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