将棋を学ぶ 2024年11月20日
将棋の囲い「穴熊」に囲ってみよう!~堅さを味方にし、終盤でのスリリングな駆け引きを楽しむ
囲いシリーズから「穴熊」をご紹介します。
熊が穴に籠っている様子に似ているのが名前の由来と言われています。
特徴
名前 | 穴熊 |
読み | あなぐま |
場所 | 左側 ・右側 |
長所 | 王手をされにくい・頑丈 |
短所 | 長い手数がかかる 玉の逃げ道がない |
穴熊は居飛車、振り飛車両方と組み合わせて使うことができます。
自分が振り飛車、相手が居飛車の「対抗型」の時に使う囲いです。
自分の飛車と反対側に作ります。
「居飛車穴熊」といって、居飛車でも穴熊を作ることができます。
囲い
穴熊まで組む手順
振り飛車を指す際の初手からの一例をご紹介します。
☗7六歩→☗6六歩→☗6八飛→☗7七角→☗4八玉→☗3八玉→☗2八玉→☗1八香→☗1九玉→☗2八銀→☗3九金→☗5八金→☗4八金左→☗3八金寄→☗7八銀
美濃囲いと比べてさらに守りが厚くなるため、振り飛車での穴熊が多く見られます。特に四間飛車や三間飛車との相性が良いです。
YouTube動画解説でも手順をご確認いただけます。
ポイント
人気のある囲いなので、いつつ将棋教室生徒さんの中にも穴熊囲いをするお子さんが多くいます。
穴熊囲いの最大の特徴は「玉を将棋盤の隅に移動して守ること」です。玉が隅にいることで、相手の攻撃から守りやすくなります。そして王手に時間がかかるため、その間に攻めることができます。
玉を一目散に隅へ移動させ、周りを金銀でしっかり固めます。
穴熊Q&A
穴熊についての質問にお答えします。
Q:穴熊が大好きなので、このようにすぐに☗1八香とついたら、あまり良くないと言われました。なぜでしょうか?
A :なるほど。これは時々子ども教室でも見かける手順です。穴熊に組みたい気持ちがとても伝わってきますね。ただし、将棋では形を早く決めすぎないほうが良い、という考え方があります。
例えば、じゃんけんをするとき、相手が「グー」を出したら「パー」を出しますよね。(じゃんけんでは後出しはルール違反ですが‥)将棋の戦法や囲いもこれに似たところがあり、相手の態度を見てから自分の作戦を決めたほうが有利になることが多いのです。
プロの現代将棋では、たとえば相掛かりという戦法で、飛車先の歩をなるべく突かずに保留することがあります。また、初形から数手で端歩を突いて相手の対応を見てから戦法を決める、ということもよく行われています。
少し話がそれましたが、☗1八香で「穴熊にしますよ」と早めに意思表示をするのは、なるべく遅らせたほうが良いのです。先手が美濃囲いや銀冠を選ぶ可能性もありますし、相手が超急戦で来た場合には穴熊に組む暇がないことも考えられます。そのため、穴熊以外の囲いの可能性も残しておくほうが得策といえるでしょう。
穴熊の弱点
穴熊の天敵は「と金」
穴熊囲いは「と金」攻めが有効です。「垂らしの歩」で☗5三歩と打ちます。
☗5二歩成で「と金」を作ります。その後「と金」と龍で攻めていきます。
☗6一と、以下☖同金☗同龍と進めると、穴熊囲いの金を剥がすことができました。
金銀で攻めてしまうと、相手の金銀に取られてしまい囲いを直されてしまいます。
☗6一金以下、☖同金☗同龍☖7一金打と穴熊が復元してしまいます。
攻める時は、と金、桂・香と大駒(飛車や角)を連携して攻めるのが良い攻めです。
8三のマスを狙う
穴熊囲いは8三のマスが弱点になります。ここを開いている形を目指しましょう。
☗8三歩と打ち込みます。ここで穴熊囲いの金と銀の連携を崩します。
☖同銀には、☗7一龍と金を取ることができ、穴熊囲いが崩されてしまいます。
穴熊いろいろ編
矢倉穴熊
将棋の囲い「矢倉」に囲ってみよう!(矢倉いろいろ編)で紹介しています。
銀冠穴熊
将棋の囲い「銀冠」に囲ってみよう!(銀冠発展編)で紹介しています。
おまけ:穴熊の姿焼き
それどういう意味!?想像がつかない将棋のおもしろい言葉たち5つ(1.穴熊の姿焼き)で紹介しています。
まとめ
穴熊囲いは、その守りの堅さで定評があり、初心者から上級者まで幅広く愛されている囲いです。ただし、玉を隅に配置し、金銀もくっつける構造上、ややバランスが悪くなる場合があります。また、一目散に穴熊囲いを作るあまり、反対側からの攻めに気づかず放置し、自陣を突破されてしまう、という局面を教室でもよく目にします。
穴熊囲いに組む場合は、他の囲いにも柔軟に対応できるように含みを持たせつつ、相手の指し手に注意を払いながら組み進めることが重要です。
一度完成させれば、そこは穴熊!強力な戦いが展開できるのも穴熊囲いの魅力の一つです。
「Z(ゼット)」という将棋用語があります。これは終盤における「絶対に詰まない形」を指しますが、穴熊囲いはこの「Z(ゼット)」を作りやすい囲いの一つです。
「Z(ゼット)」や「王手がかからない状態」を作り出せれば、ギリギリの攻防の中でも相手の手を読みやすくなり、自信を持って攻めに転じることができます。
穴熊囲いの堅さを味方にして、終盤でのスリリングな駆け引きをぜひ楽しんでみてください。
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