将棋を教える 2020年1月28日
将棋初心者の子どもたちのつまずきポイント⑨飛車だけで攻めようとしてしまう
あれ?なかなか攻められない・・・
飛車は子どもたちに人気の駒。人気の理由は、遠くのマスへ一気に動けることに加え、角より動けるマスが分かりやすいためのようです。飛車は攻めの大将だよ、と教えると子どもたちはさっそく攻めに使おうとすることができます。
しかしここで、飛車先の歩を突いて道を作るとそのまま横に移動して別の筋を狙おうとしてしまう、ということがよく見られます。さて、この攻めはうまくいくのでしょうか?
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残念ながら、この攻めはうまくいきません。このまま☗5三飛成と、敵陣へ攻めると☖同玉と飛車を取られてしまうからです。
第1図で飛車を成れないことが分かると、攻める場所を探して飛車を右に行ったり左に行ったりさせるのですが、どこを狙おうとしても相手の駒に守られてしまい攻めることができません(☗1六飛には☖2二金)。飛車は攻めの主役の駒ですが、1枚だけで攻めていくことはできないのです。
格好の的に
さらに、飛車が歩の上にいることによって危険なことがあります。下の図で、上手の狙いはなんでしょうか?
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上手の狙いは飛車の捕獲です。次に☖7五歩と突かれてしまうと飛車の行く場所がなく、歩に飛車を取られてしまいます。
飛車は縦横へ一気に動ける駒ですが、動く場所がなければその強みを活かすことはできません。歩の上に来ると狙われる危険がある、ということを覚えてくださいね。
飛車の使い方
それでは、飛車はどのように使えばいいのでしょうか?
point.1 後ろに下がる
飛車先の歩を突いたら、まずは歩の交換。
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この時に飛車を元の位置(2八)まで下がっておきましょう。1つ2つ下がって飛車を横に動かしたくなっても我慢我慢。最初は基本の形を覚えることが大切です。
point.2 飛車は後ろから
飛車は攻めの主役と聞くとつい前へ出して使いたくなってしまいますが、後ろから他の駒を支えるイメージで使うのが良い指し方です。前にいる駒は相手に取られる可能性が高いので、基本的には価値の低い駒を前に出して攻めていきましょう。
下の図ではどちらが良い形でしょうか?
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この場合は右の図が良い形です。次に☗2三香成と攻めていき、☖同金☗同飛成となり攻めが成功します。左の図のように香を2九香と打ってしまうと、☗2三飛成☖同金☗同香成となり、敵陣を突破できますが相手に飛車を渡してしまうので損な指し方となってしまいます。
参考1図は棒銀と呼ばれる攻め方。飛車の前に銀を前進させて攻めていきます。狙いは相手の金との交換と敵陣突破です。
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参考1図以下は、☗2四歩☖同歩☗同銀として、☗2三銀成〜飛車成を狙います。この棒銀の攻めはプロアマ問わずとてもよく出てくる基本の攻め方です。攻め方に迷ったら、まずはこの形を覚えると良いですよ。
棒銀の攻めは手引き帖3巻で詳しく学ぶことができます。
終盤でも同じ考え方をしてみましょう。次の局面ではどちらの駒が成ったほうが良いでしょうか?
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ここでも飛車は支える駒となり、☗6二歩成と攻めていきましょう。☖8一玉に☗7二とで玉を寄せることができます。☗6二飛成と攻めていくと☖8一玉とされた後、決め手がありません。
おわりに
飛車は強力な駒ですが、使い方によっては力が出せません。今まで飛車がうまく使えなかったという方は、動けるように道を縦横開けておく、攻めるときは他の駒の後ろから支えるように使う、ということを意識してみるといいかもしれません。
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