株式会社いつつ

連載:東京新聞「子育て日記」 2016年7月13日

仕事と家庭のオン・オフ -プロ女流棋士中倉彰子 子育てブログ

中倉 彰子

働くママの悩みは、子供とじっくり向きあう時間が少ないことでしょうか。

私は仕事と家庭のオンオフが下手だなぁとよく感じます。

人には「将棋は気持ちの切り替えが大事で、特に負けた時は、反省したらすぐに気持ちを切り替えて次に向かいます。」なんてエラそうに言っているわりに、自分の仕事のオンオフは失敗ばかり。

私は普段は東京で活動していますが、会社の事務所機能が神戸のため、社内でのやり取りは、ほとんどが電話やメールになります。

ある日の我が家での団らんの時、マキが「ママのまね〜」と言って、スマホを指で動かし、子供からの問いかけに、私が「ふんふん」と上の空で返事をしている物まねをして、みんなを笑わせていました。

「ママ、いつもそうだよねぇ。」と大きく頷くマイ。「えーそんなにしてるかなぁ?」と言ってはみたものの、心の中では冷や汗。

確かに、仕事のことを考えたり、届いたメールにすぐに返事を書こうして、家事の最中にピコピコしていることもありました。子どもは親をよく見ているものですね。

気をつけないといけないなぁと思っていた矢先・・夕食作りや、家事で忙しい時間帯に、仕事のラインが。

急いで応える必要もない内容なのに、心に余裕がないまま、反射的に答えてしまった文字のやりとり。その事が原因で、相手を怒らせてしまう事態に・・。

その日は家事も心ここにあらずの状態になり、子供にもよくないと、深く反省しました。

最近実験的に、毎日定時に会社と家をテレビ電話で繋ぎ、常に打ち合わせや、話しをできるような環境にしてみました。

在宅しながら会社にいるような感覚です。定時にしたのは、仕事のオンオフを明確にしてみようという思いもあります。

その後、夕方からは家事の時間、と切り替えができるようになりました。仕事がどうしても終わらない場合は、夜中に作業をします。

寝かしつけの時には、子ども達が完全に寝てから、そ〜っと布団から出ていましたが、最近は「ママがんばってね〜」と、子供達が布団の中から送り出してくれる事も。家族の応援にほっこり心暖まります。

泊まりの出張から帰った翌日。子どもたちと家でゆっくり遊びました。

将棋の駒を高く積む競争をしたり、ピラミッド風に積み上げ面白い形を作ったり。でも「これ将棋イベントに使えないかなぁ」などと考えている自分が・・。

仕事のことは忘れて、もっと子供達との時間を楽しまないと(苦笑)。オンオフ切り替えは、私の子育ての大きな課題です。

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この記事は、東京新聞にて中倉彰子が連載している「子育て日記」と同じ内容のものを掲載しております。
:『東京新聞』2016年2月26日 朝刊

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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