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連載:東京新聞「子育て日記」 2016年5月9日

末っ子のいたずら -プロ女流棋士中倉彰子 子育てブログ

中倉 彰子

シンは2歳の末っ子の男子。上二人の娘の育児に苦労していない訳ではないですが、男の子はやっぱり違いますね。今まで経験した事のないイタズラをしでかすので、戸惑うことが多いです。

「やりたがりの芽を育てる」「ダメダメばかり言わない」頭の中ではわかっているのですが、目の前で何かをされると、ついつい「ダメ!」と言ってしまいます。

最近のイタズラの例。
・部屋中に塩を振りまくる。(部屋中が清められました)
・お風呂に入浴剤を3袋いれる。(お蔭で肌はしっとり)
・金魚の入った水槽に、一缶すべての餌を入れる。(金魚さん、突然の食べ放題に)

他にも、アイロンのノリづけスプレーを、まだ干している洋服にシュッシュッ。テーブルの上に歯磨き粉を山盛り出して、歯ブラシでニュ~と伸ばす、などなど・・。私の中での彼は宇宙人、理解不能な存在です。

先日、食卓で、容器に入った塩を、スプーンで食べようとするシン。「ダメよ!しょっぱいから!」慌てて腕をつかんで止めようとすると「ヤダヤダ!」と反抗。

押し問答を繰り返していると、遊びに来ていたお義母さんがひと言「経験だから、食べさせてみたら。」
「えっ?そんな、お義母さん…」(心の声)

シンの手を放すと、シンは嬉しそうに、スプーンいっぱいの塩を口の中へ・・。「うえー!」しょっぱすぎるーという顔をして、ペッペッと吐きだすシン。これには家族みんな大笑い。その後、塩の容器に近づかなくなったのは言うまでもありません。

将棋も、机上で研究を積み重ねるよりも、実戦を通じて経験する方が、身につきやすいと言われます。

危険な事でなければ、好きにやらせてあげる方が、本人の成長につながるのかもしれませんね。

お義母さんが、「大人にとってはイタズラに見えるけど、子供は、こうやったらもっと面白いかな、これはどうなっているのかな?って、色々発見しているのよねぇ。私も勉強になるわ~。」なるほど。3人の育児を成し遂げた大先輩の懐の広さを感じます。

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今、部屋で原稿を書いている途中ですが、台所からお義母さんの声が。
「えーっ!シンちゃん、コーヒーの粉食べちゃったのー!」

その後は、かごをかぶりニコニコ。お調子者のシンです。シンのイタズラ(好奇心?)は、これからも、まだまだ続きそうです。

*
この記事は、東京新聞にて中倉彰子が連載している「子育て日記」と同じ内容のものを掲載しております。
:『東京新聞』2013年1月25日 朝刊

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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