連載:東京新聞「子育て日記」 2016年5月9日
ようこそお客様 -プロ女流棋士中倉彰子 子育てブログ
先日、夫(棋士)の新しい弟子のコウタ君(中学2年)が、初めて我が家に泊まりにきました。
コウタ君は、北海道の旭川市に住んでいて、今夏に、奨励会(プロ棋士養成機関)の試験に合格し、毎月2回、東京に通う事になったのです。
夫も同じ北海道の出身で、小学6年生の時に上京し、約4年間の内弟子生活を経験しています。
ひと昔前は、師匠の家に住み込みで修行するのはよくある話しでしたが、最近では、住宅事情の変化もあり、将棋界では、そういう話しは全く聞かなくなりました。
インターネットの普及で、将棋の情報に地域格差はなくなったと言われますが、プロを目指すための機関は東京と大阪の2ヶ所しかなく、地方に住んでいる人には、月2回通うことになるので、やはりハンデがあります。
さて当日。我が家は、自宅に誰かが泊まりに来るということは滅多になく、子供達は、ワクワクドキドキ。
飛行機の発着が遅れ、羽田から電車を乗り継いで、ようやく家に着いたのが、夜の8時過ぎ。初めて会うコウタ君は、疲れも見せず、きちんと挨拶。しっかりしています。我が家の3人の子供達は、ちょっと恥ずかしそう。
夫と二人で遅い夕食を取っているコウタ君を、マキ(6才)とシン(4才)が、ドアの向こうからジーっと覗くように見ています。
お風呂に入って部屋に入ったコウタ君。シンはずっと、話しかけたくてウズウズしている様子。
しばらくすると、自分のおもちゃコレクションを、コウタ君の部屋に、せっせと運んでいるシンの姿が(笑)。
「コウタくんは遠くからきて疲れているから程々にね。」と言っても、全く耳に入りません。
その後慣れてきたマキとシンは、コウタ君と将棋を指し始めました。シンがコウタ君の相手側に座り、マキは、ちゃっかり、コウタ君の膝の上に座っています。
翌朝。コウタ君は、奨励会に向かうため、家を早く出ます。いつもは朝寝坊さんのマキが、珍しく早起き。何食わぬ顔で、コウタ君と並んで朝ごはんを食べている姿に、思わず吹き出してしまいました。
2回目のお泊りの時は、すっかり我が家の子供達は慣れてしまい、シンは持ち前の甘えぶりで「こコウタお兄ちゃん、だっこして~。」と甘えています(苦笑)。
ふと気がつくと、3人ともコウタ君の部屋に行き、将棋盤を囲んでいます。我が家の子供達が一方的に話しているのを、「うんうん。」と聞いてくれる優しいコウタお兄ちゃんです。
「コウタ君は明日対局があるのだから、そろそろ部屋をでようね。」というと、しぶしぶ顔で部屋をでる子供達。
夢に向かってがんばっているコウタ君という存在を、我が家の子供達が身近に感じることができるのは、有難いことです。
毎回の北海道からの移動は大変だと思いますが、乗り越えてもらいたいです。
*
この記事は、東京新聞にて中倉彰子が連載している「子育て日記」と同じ内容のものを掲載しております。
:『東京新聞』2014年11月21日 朝刊
株式会社いつつの無料メールマガジンでは、3児のママであり、プロ女流棋士である中倉が日々の子育てで生かせる情報を発信しております。是非ともご登録ください。
関連記事
いつつへのお仕事の依頼やご相談、お問合せなどにつきましては、
こちらからお問い合わせください。