連載:全国将棋道場巡り 2016年2月11日
近い実力の人に必ず出会える!日本将棋連盟「東京・将棋会館道場」訪問記
いつつブログでは、
「子どもの方が将棋が強くなってしまったママが心がけるべき5つのこと」
「子どもに将棋を教えるときに気をつけるべき5つのこと」
「子どもが将棋を習慣化できる5つのコツ」
といったテーマで、将棋に興味がある保護者の方に向けた記事を書いています。
その記事の中で、「実戦経験をつませましょう」として、「将棋大会に連れて行く、将棋道場に通う、将棋友だちを作って対局する」などを提案させてもらっているのですが、これをご覧になった方の中には、「そうは言われても……」と思われる方もいるかもしれません。確かに、将棋に馴染みのない人にとって、将棋道場はハードルが高いところなのかもしれません。
しかし、実際のところはというと、将棋道場は意外と気軽に参加できて、将棋をいろいろな人と楽しむことができる場所なんです。
そこで、いつつブログでは「全国将棋道場めぐり」と題した連載で、全国各地にある様々な将棋教室・将棋道場を紹介することで、将棋が子どもたちにとって(もちろん大人の方も(^ ^))いかに身近な場所なのかを伝えたいと思います。
さて、いつつの「全国将棋道場めぐり」記念すべき第1回目は、日本将棋連盟の「東京・将棋会館道場」です! 今回は、公益社団法人日本将棋連盟事業部道場課の高橋拓臣さんにご紹介いただきました。
どんな人たちが来ているの?
中倉彰子(以下彰子):本日はお忙しい中、お時間いただきましてありがとうございます〜。それにしてもたくさんの方が来られていますね。
日本将棋連盟道場課高橋拓臣さん(以下高橋さん):今日は日曜日ということもあって、ひときわ多くの方がいらっしゃっています。
彰子:ほぼすべての盤駒が埋まってますね!
高橋さん:全部で約70組の盤駒がこの部屋にはありますから、今この瞬間に140名の方が対局されているという計算になります。
彰子:1日何人くらいの方がいらっしゃるんですか?
高橋さん:土日は200名くらいですね。平日だと平均すると70名ほどです。
彰子:お子さんも多いですね!
高橋さん:今は全体の4割くらいが中学生以下です。
彰子:みなさんプロを目指しているお子さんなのでしょうか?
高橋さん:いえいえ、そんなことはありませんよ。道場には、研修会や奨励会(彰子註:プロの将棋棋士の養成機関です)を目指すようなお子さんもいれば、楽しく対局したいというお子さんや、ルールを覚えたばかりの初心者のお子さんもいらっしゃいます。棋力は、幅広いですね。
道場のシステムについて
彰子:東京・将棋会館道場は、どのようなシステムになっているのですか?
高橋さん:まず道場に着かれましたら、席料をお支払いいただきます。席料は年齢や入室時刻によっても変わりますので、ご確認ください。はじめての方は、おおよその棋力をお聞きして棋力判定のための手合(彰子註:手合とは、対局のこと。それ以外にも棋力が異なる場合のハンディキャップを決めることを含みます)を付けます。2回目以降の方は棋力の認定証がありますので、それにもとづいて手合をつけていきます。
彰子:この手合カードに勝ち負けのハンコが押されていくんですよね〜。
高橋さん:勝ったら◯、負けたら●が押されます。将棋会館道場にはたくさんの方が対局されますので、勝った人の手合カードを上に、負けた人のを下にして受付に提出してもらっています。基本的に、提出するのは勝った人なんです。
彰子:対局相手はどのようにして探すのでしょうか?
高橋さん:手合係と呼ばれる係の者が、対局待ちの方同士を結びつけます。棋力に差があるときには、適切なハンディキャップ(手合割)も指定します。
彰子:指導対局と違って、自分が上手(うわて)側を持つこともあるのですね。
道場のセールスポイント
彰子:道場のセールスポイントをぜひ教えて下さい。
高橋さん:なんといってもたくさんの人がいるということですね。たくさんの人がいるということは、自分と同じくらいの棋力の人や同年代の友だち・ライバルに出会える可能性が高いということです。
彰子:それはいいですね!
高橋さん:他にも、いろいろ楽しむための工夫をしています。例えば、連勝賞です。一定数以上連勝すると、賞品がもらえる仕組みがあるんですよ。
彰子:私、それすごく楽しみにしていました。今の人気賞品はなんですか?
高橋さん:今人気があるのは、置き駒や将棋キーホルダーですね。全種類集めようと頑張っている方もいらっしゃいますよ。
高橋さん:他にも、定期的にトーナメントやイベントを開催しています。できるだけ楽しんで、長く続けていただけたらいいなと考えて企画を練っています。
お子さんを待つお母さんにもお話をうかがいました
男の子のお母さん
私が、ずっと付き添わなくてはいけなくて、大変ではないですか、と聞いたところ、家とは違った、将棋を指している息子の表情を見ているのが嬉しい、とのことでした。一生懸命考えて対局しているお子さんの顔。「お菓子をもらった時の嬉しい顔とは違う、自分で手にした勝ちに喜ぶ息子の顔を見るのが、とても嬉しい」というお母さんの言葉に、あーわかるなー!と共感しました。
お菓子やおもちゃに喜ぶ子どもの顔も嬉しいけれど、自分で努力して勝ち取った喜びの表情には、誇らしげな体験。きっとその子の自信につながっていくことと思います。勝っても負けても楽しい、と目をキラキラさせている男の子。みているだけでこちらも笑顔になりますね。
沢山のこどもたちがいるので、そこで将棋のお友達になったり、今日はこの子いるかなと楽しみにしている子も多いよう。棋力も同じくらいの相手なので、勝ったり負けたりも味わえることができるのも道場の醍醐味かもしれませんね。
女の子のお母さん
今は近くに座っているのですが、普段は遠くから見ているのが好きなんです、とおっしゃていました。一生懸命頑張って、時には泣いたり悔しがったり、機嫌が悪くなってしまう我が子を、いつも温かく見守っているんだなと、素敵だなと思いました。
最初のうちは、男の子の前で泣いてしまって相手に悪くて、ということがあったようですが、だんだんとそういった感情も折りたたみ対局できるようになったきたそうです。そういった成長をみることができるのも、親として、とても嬉しいことですよね。
中倉彰子の訪問後記
小学生のころ私も月2、3回は、妹と父に連れられ、車に乗って、ここ千駄ヶ谷の将棋道場に通っていました。久しぶりに訪れた2階道場。
休憩に入るときは、カウンターの上にある入れ物に自分の手合カードを入れます。そうすると、手合がつきません。私たちもお昼休憩になると、その入れ物に自分たちのカードをいれて、地下のレストラン(東京・将棋会館の地下にレストランがあったのです)で、お昼ごはんを食べるのが嬉しかった思い出があります。
その頃は、女の子そして姉妹というのが珍しく、手合係の方も覚えてくれていて、「頑張ってね」と声をかけてくれたり優しく対応してくれました。豊川孝弘先生(現七段)が、修行時代の奨励会の時に手合係でアルバイトをされていたことがあり、「中倉姉妹は小さくて、あきこちゃーんと呼んでもいなくて、気がついたら、カウンターの下にいたりして。小さいときから通っていたよねー」と、女流棋士になってから声をかけてくださいました。
楽しい思い出もありますが、負けたときには、父が、「こう指せばよかった」という指摘に、反発して喧嘩になり、涙というほろ苦い思い出も同時にありました。父は、私たちの対局の盤面が見えるところに必ず立っていて、局面が悪いと苦虫をかみつぶした顔したり、「なんでこーやならないんだ」みたいな顔をしてみていました(笑)。
あの時から時間が経って、私はすっかり大人になってしまいましたが、今も昔も変わらない将棋道場の光景をとても懐かしく思いました。
道場データ
道場名称 | 東京・将棋会館道場 |
場所 | 東京都渋谷区千駄ヶ谷2-39-9 |
営業時間 | 午前10時~午後9時 |
定休日 | |
電話番号 | 03-3408-6167(直) |
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