株式会社いつつ

将棋を教える 2016年6月2日

早く上達するためにも知っておきたい!将棋初心者がつまずきやすい5つのポイント

中倉 彰子

さて今回は、将棋を始めた子どもたちに少しでも早く上達してもらうために、初心者がつまずきやすい5つのポイントについてお話ししたいと思います。

本来、将棋の上達を目指すならば、いろんな人と何度も対局しながら、あーでもない、こーでもないと思考錯誤するのが一番いい方法だと思います。

しかし、将棋を始めたばっかりの初心者の段階で、何が上手くいかないのか分からないまま「闇雲に」とか「何となく勘で」指し続けるというのはなかなか辛いものですよね。

そこで、予め将棋初心者の子どもたちがつまずきやすいポイントと、そこを克服するためのプロセスを示すことで、より早く上達し、将棋を指すことを楽しめるようになるための提案をしたいと思います。

将棋初心者の子どもたちが上達するためのポイントについて紹介します。
将棋初心者の子どもたちが上達するためのポイントについて紹介します。

「はじめての将棋手引帖シリーズ」は、はじめて将棋に触れる子どもたちのつまずきポイントと「分からない」にアプローチした初心者向け将棋テキストです(*´꒳`*)

1.全部の駒の動きを一度に暗記しようとしてしまう

将棋の駒の数は全部で8種類。これは、チェスや中国のシャンチー、韓国のチャンギなど、世界のボードゲームと比較しても多い部類に入ります。(ちなみに、チェスが6種、シャンチーとチャンギは7種です)

しかも将棋の駒は種類が多いうえに、その動きときたら前後左右はもちろんのこと、桂馬のように特殊な動きをするものがあったり、突然裏返ったりと、全ての動きを覚えるまでに途方に暮れてしまいそうになりますね、笑

しかし、こんなときは無理をしないでください。

覚えられないのであれば、盤の横に早見表(駒の動き方が示された一覧になったマニュアルのようなもの)を置いちゃって、それを見ながら指せばいいのです。

まずは早見表を横に置きながら駒の動かし方を身に付けましょう。
まずは早見表を横に置きながら駒の動かし方を身に付けましょう。

横に早見表を置きながら将棋を指すことは、初心者のうちはちっともズルいことでも恥ずかしいことでもありません。

それに、頭で覚えられないなら、身体で覚えてしまえばいいことです。早見表を見ながら何度も指してるうちに、身体が自然と駒の動き方を身につけるようになります。

ちなみに、横に早見表を置く以外にも、はじめのうちは動き方が示された入門駒を使うのもおすすめですよ。

2. 将棋の目的【=相手の王様をつかまえる】を忘れてしまう

この局面どのように駒を動かすといいかな?将棋は玉を取るゲームだよ
この局面どのように駒を動かすといいかな?将棋は玉を取るゲームだよ

まず、上の写真を見てください。

あなたならこの局面、どの駒をどう動かしますか?(手前側が自分だと想定してください。)

正解は、2三金を1二金へ移動するです。(少し簡単すぎましたでしょうか(^^;;)

ここで初心者の人がやってしまいがちなのが、4四歩で4三金を取りに行ってしまうことです。

将棋を始めたばかりの初心者が起こしやすい心理として「持ち駒を増やしたい」というのがあります。

写真の盤面で4三金を取りに行くのは、「王」を詰む手があるにもかかわらず、上記の心理が強く働きすぎて、つい目先の取れる駒に目がいってしまっている証拠です。

駒を指す前に、まず「相手の王を詰む方法はないか」、逆に「相手に王を詰まれることはないか」を考えるが鉄則です。

ここで、1つ「王を取る」ということを意識するためのトレーニングをご紹介します。

それは、「詰将棋」です。

ご存知の方も多いとは思いますが、「詰将棋」とは、将棋のルールを用いたパズルのようなもので、駒が配置された将棋の局面から王手の連続で相手の王を詰めるものです。

問題集などもたくさん出てますので、ぜひ一度トライしてみてください。

まずは初心者向けの詰将棋から
まずは初心者向けの詰将棋から

将棋をはじめたばかりの子どもたちには、1手詰の詰将棋問題がおすすめです!

3. どの駒を動かして良いのか選択がありすぎて迷ってしまう。

1でも申しあげたのですが、駒の種類が多いというのが、将棋の特徴のひとつです。

駒の数が多いということは、それだけ動かす選択肢も多いということ。

特に、対局の序盤なんかは相手の出方もよく分からず、「とりあえず指しておこう」という人も少なくないと思います。

そんな人にオススメなのが「青空将棋」(別名「歩なし将棋」)というトレーニング法です。

将棋初心者の方に話を聞くと、最も駒の動かし方を迷う局面として最初の一手をあげる人がいます。

確かに、最前列に並ぶ9枚の歩、どれを動かすのが正解なのか悩ましいところですね。

「青空将棋」とは、そんな悩みの種でもある歩の駒を全部取っ払って行う対局のことです。最前列の歩がなくなり、機動力のある飛車・角が前面に、金銀なども自由に動かせるようになるので、通常の対局よりもダイナミックに駒を動かすことができます。

何より、駒の数が減ったことで「どの駒を動かすべきか」その判断もしやすくなりますよね。

青空将棋で自由に駒を動かしてみよう
青空将棋で自由に駒を動かしてみよう

4. 負けを極端に嫌がる

いつつブログ内でも度々お話させているのですが、将棋は1対1の真剣勝負。同点というルールがないため、片方が勝てば、どうしたってもう片方が負けるわけなのですが

この「負け」が本当に悔しいのです。

しかし、将棋を始めたばかりの頃にこの「負けたくない」が強すぎて、勝負そのものを避けて通ってしまう人がたくさんいます。

繰り返しますが、将棋の腕を一番上げるのは、いろんな人と何度も対局することです。

場数を踏まなければ、なかなか上達しません。

以前いつつブログでも自ら負けを認めることが重要な5つの理由というコンテンツを掲載させていただきました。

初心者にとって負けを認めることはとても大切なことです。
初心者にとって負けを認めることはとても大切なことです。

負けることは決して恥ずかしいことではありません。次の段階へ行くための大きなチャンスなのです!!

5. 将棋を難しいと思い込んでしまう

駒を自由に動かして将棋を楽しむことが大切。
駒を自由に動かして将棋を楽しむことが大切。

「将棋は何十手、何百手先を読まなければいけない」と考えている人いませんか? 私もよく、「プロの棋士は何手先まで読んでいますか?」という質問を受けます。確かに、プロ棋士どうしの対局となると、先の局面の可能性をいくつも考えないといけないということもありますが、初めからそんなことができる人はほとんどいません。

将棋そのものを難しいと思い込んでしまう理由のひとつとして、この「先を読まなくてはならない」というような固定概念があります。

なので、将棋を楽しむためにも、最初から何手も先を読もうとするのではなく、まずは今ある局面で自由に駒を動かすことを意識してみてください。

思い通りに行くときもあれば、行かないときもありますが、そんな時はリラックスして「ここがうまくいかなかったから、次はこうしてみよう」とか「この手がうまくいったから次も使ってみよう」とか、いろいろ試行錯誤してみてください。
そのうち、だんだん次の局面とか、次の次の局面とか先が読めるようになってきます。

「将棋って難しい」ではなく「将棋って楽しい」、そう思ってもらえるととても嬉しいです(^ ^)

いつつ将棋教室将棋は初心者のお子どもたちが無理なく楽しく将棋を身に付けることができる将棋教室です。体験会も実施していますのでお気軽にご参加ください(^^)

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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