株式会社いつつ

将棋を学ぶ 子育て 2016年6月10日

落ち着きのない子どもへの対応5つの方法

中倉 彰子

いつつ将棋教室に通う子どもたちといえば、ちょうど動きたいざかりの年齢の子ばかり。普段はできるだけ外で遊び、おもいっきり体を動かして遊んでほしいものですよね。それに元気に外で遊ぶというのは子どもの成長にとっても大事なことだと思います(^^)

ただ、将棋教室では、いくら子どもといえどもそういうわけにはいきません。将棋教室内で走りまわったり、さわいだりしてしまうと他の子どもたちの迷惑になってしまいます。それに、子どもたちに将棋を強くなってもらうためにも、将棋を指す時間は、できるだけ落ち着いて、じっくり将棋盤に集中して取り組んでもらいたいと思っているのです。

しかし、そうはいっても、いつもにぎやかになってしまうのが子どもたちです。

落ち着きのない子どもたちに集中して将棋に取り組んでもらうには一体どうすればいいの?

なかなか静かにならない子どもたちに悩んでいるお母さん、きっと多いと思います。私自身まだまだ修行中!の身ではありますが、私が子どもの将棋教室を通じて感じたことを参考にしていただけたら嬉しいです。

1. とにかく認める

小さなことでもとにかく褒めてあげましょう。
小さなことでもとにかく褒めてあげましょう。

認められたいし褒められたい…。これって、どんな子どもだってきっとみんな一緒ですよね~。ですから、王道過ぎて申し訳ないくらいですが、やっぱり認めて褒めることが大事なのかなぁと思っています。子どもたちの前回に比べて少しでも良くなっているところを見つけてとにかく認めてあげること。

例えば将棋の内容よりも、「駒がきちんと並んでいるね。」とか「詰将棋の答えの文字がかけたね。」など。ほんの小さなことでもいいので、その子なりの頑張りを見つけてあげることが大切だと思っています。そうすれば、子どもたちも、「あ〜今先生に褒められてるな」って意識しますし、次も「褒められたい!」とがんばることが多い気がします。

「ちゃんとあなたを見てますよ~」ということがしっかり子どもたちに伝われば、落ち着きのなかった子どもたちもだんだん集中力を取り戻すように思います。

ちなみに、褒めるときは大きな声で褒めるようにしています。そしてついでにまわりの子どもたちも一緒に褒めてしまいます。将棋教室で「すごく良い姿勢だねぇ」なんて褒めるとまわりの子どもたちの背筋もしゃんしゃんしゃん…と伸ばして、ほんと可愛いんですよね~(^^)

あと、将棋教室で将棋とはまったく関係のない、学校の話や家族の話をする子どもたちがいます。その時は、将棋に支障がでない範囲で、子どもたちの話をじっくりと聞いてあげるように心がけています。例えば、「夏休みにこんなところに行ったよ」とか「もうすぐぼく◯歳になるよ。」などなど。実は子どもたちの他愛のない会話を聞いていて私も楽しかったりします。

ちなみに叱ることはしないの…?というご質問に対して…。

はい…叱ります。

将棋教室で、集中したいお友達に迷惑をかけたり、ルールを守らない場合には、子どもたちにぴしっと注意します。お話をする子どもどうし座る場所を離したりして実力行使。そこはきっと怖い先生なんだろうなぁと思っています。

2. 課題を与える

将棋教室では、子どもたちに色んな課題を出しています。
将棋教室では、子どもたちに色んな課題を出しています。

子どもたちの将棋の習熟度や、性格に応じて課題を与えていくようにしています。とくに女の子は、お友だちどうしの対局をさけたいという印象があり、詰将棋や講師との対局をしたがります。そういうことを考えて、無理じいではなく「今日は一局だけ指してみる?」という風に「勝負しよう」といった感じではなく「一緒に将棋しよう」といった感じで子どもたちに声がけをします。

他にも、私の将棋教室では、対局用紙に、勝ち星だけでなく「お願いします。」や「負けました。」、「ありがとうございました。」の挨拶ができると丸がもらえるようにしたりしています。

詰将棋の問題や棋譜並べなどいろいろな課題を準備をしておいて、前回はどうだったから今日はこれを目標にしよう!と、それぞれの子どもたちにとって明確で実現可能な小さな課題を渡すことにしています。そしてできたら褒める!子どもたちの将棋に対するモチベーションをあげるのに役立っているのではないかと思っています。

3. 挨拶の瞬間からポジティブモードで

将棋教室の最初にポジティブな声をかけると子どものやる気スイッチが入る
将棋教室の最初にポジティブな声をかけると子どものやる気スイッチが入る

これは将棋教室でも結構気をつけています。元気に教室に来てくれて挨拶をするその瞬間に、子どもたちにポジティブな言葉掛けをするようにしています。「今日はすっごく良い顔してるね~!どんな手を指してくれるか先生楽しみだなぁ」といった感じに(実際はもっと恥ずかしいくらい大げさにやってます…)ポジティブモードの先手必勝です。この声をかけるだけで、「よしっ!今日は将棋がんばるぞ!」といきなりやる気モードにスイッチが入る子どもたち多いですよ。

4 ライバルとの戦い方を伝授

男の子はライバルの存在を意識することで将棋に集中する
男の子はライバルの存在を意識することで将棋に集中する

子どもって、意外とお友達のことを意識していますし、ライバル視しているんですよね~。我が家でも、姉弟同士のライバル心というか嫉妬心には、ほとほと疲れるとことがあります。うちの子どもたちも、あの子は縄跳びの二重飛びが何回できるだの、連続逆上がりが何回できるだの、スイミングに行けば、あの子は何級なんだとか…ほんとよく見てますよね~。特に男の子は、わりと純粋にお友達に負けたくない気持ちがあるようです。落ち着きのない子であっても、実は心の中ではいろいろ思っているようです。私は家でも将棋教室でも、ライバル心を煽ることはしないのですが、どうすればもっと強くなれるのか、子どもたちにとって実現可能でわかりやすい見通しを立ててあげることをしています。

これは、お友達と争いたくない子が多い、女の子には効かない技だったりしますが…。

5.集中して対局をさせる

集中して将棋ができるくらい子どもを将棋好きにするのが将棋教室講師の役目
集中して将棋ができるくらい子どもを将棋好きにするのが将棋教室講師の役目

将棋教室では、子どもといっても、将棋の対局が面白くなれば、対局中は集中しているので、じっと座ることができます。羽生先生が「すごく楽しいとか真剣に考えているとか、集中しているときに、体は静止するようです。」(「将棋は脳を育てる」日本将棋連盟発行)とおっしゃっています。

ですから、本当に将棋というゲームがわかってきて、「将棋面白い!」と思うことができれば、子どもたちはじっと座ることはできます。「将棋は面白い!」と思うまでの道のりをサポートするのが、私たち将棋教室の講師の役目なのかなと日々感じています( ´∀`)

いつつ将棋教室は、子どもの「分からない」と「楽しい」にこだわった将棋教室です。

いつつのオンラインショップ神戸の将棋屋さんいつつは子どもが楽しく将棋をするための将棋グッズを多数取り揃えています。

この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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