子育て 2016年5月27日
絵本のスペシャリストが教える子どもにおすすめの日本の絵本5つ
全国のパパママが訪れる小さな絵本専門店
平松二三代さんは『ひつじ書房』という小さな書店の店主です。
休日ともなるとたくさんのパパ、ママ、子どもたちが途切れることなく店にやってきては、二三代さんに色んな相談を持ちかけます。
「子どもたちにどんな絵本を読んであげるといいですか」。
『ひつじ書房』は1975年創業の児童図書専門店。
店の規模こそ大きくないものの、二三代さんにより選りすぐられた絵本のラインナップは、地元神戸の人はもちろんのこと、全国でも多くの親子に長年親しまれてきました。
「絵本一筋40年。
ここを始める前も図書館で児童書専門の司書をやってきたので、それも含めるともっと長い時間、絵本や子どもたちと向き合ってきました。」
これは、二三代さんの言葉です。
そうです。
二三代さんはまさに絵本のスペシャリストなんです。
ひつじ書房に訪れる人たちは、お店のファンであると同時に二三代さんのファンでもあるんですね。
今回は、弊社が子どもたちへの日本の伝統文化の普及に努めているということもあり、二三代さんに5歳の子どもにオススメの日本の絵本をいつつ紹介してもらいました。
1.「かもとりごんべえ」/岩崎書店
タイトルに聞き覚えはあったのですが、記憶とは本当に曖昧なもので、想像していたよりずっとずっと想像的な作品でした。
もともと農民どうしの笑噺から来ているみたいなのですが、よく「お笑いには頭がいる」というように、ただただ一発ギャグのようなものが続くというわけではなく、「働かざるもの食うべからず」のような格言があったり、最後にはバッチリオチを決めてきたりと、話の展開として「締めるところはしっかり締める」といった印象でした。落語に近いのかなぁ。
2.「まのいいりょうし」/福音館書店
今回紹介する絵本の中では、おそらく最も知られていない、まさに「知る人ぞ知る」作品かと思います。
先出しの「かもとりごんべえ」と同じ起源からきているという一節もあるのですが、こちらの作品「とにかくおもしろい」と二三代さんも絶賛でした。
で、実際読んでみてどうだったかというと、、、
「やっぱりおもしろい!!」でした。笑
前のページの後ろの部分が次のページの伏線となり、次々話が展開していく構成なのですが、ページをめくるたびに、いい意味で予想を裏切られるので、子どもと読み進めながら、「次どうなるだろうと」と想像するのもおもしろいかと思います。
3.「ふるやのもり」/(福音館書店)
突然ですが、「ふるやのもり」ってなんのことかみなさんご存知でしょうか?
この本を読むと、恐らくそれは「自然」だと思います。
では、なぜみんなに伝わる「自然」ではなく、終始耳馴染みのない「ふるやのもり」という言葉を使い続けたのでしょうか。
恐らく「自然=神さま」と子どもたちに印象づけることが目的だと思います。
地震を筆頭に、日本は古来からさまざまな自然災害に悩まされてきました。
しかし、広大な自然が私たちに与えるのは、災害による爪痕だけではありません。春の桜に夏の海、秋の名月に冬の雪。私たち日本人には何より美しい四季というものがあります。
感謝する気持ちがあったからこそ、日本人は自然に対して戦いを挑むのではなく、「やまのかみ」や「うみのかみ」として崇め敬ってきたのだと思います。
こうした背景からも「ふるやのもり」はとても日本らしい作品で、「自然を恐る」というより「自然を畏怖する」といったニュアンスが強く感じられました。
これだけ見るとなんか難解なストーリーを思い描くかもしれませんが、
この絵本、いい大人の私が読んでも笑えます。
ちなみに、弊社に二人の女の子を持つママがいるのですが、お子さん二人ともこのお話が大好きだっていってました。
4.「こぶじいさま」/(福音館書店)
こちらは「こぶとりじいさん」でおなじみのお話です。
個人的には、こぶが頬ではなく額についていたことがかなり衝撃的でした。
さて、みなさんもご存知かと思うのですが、このストーリーの中核をなすのは、「隣の芝生が青く見えて、それを妬んでマネしようとすると失敗しますよ」という教訓です。
「他の子が持っているものを欲しがる」とか「食べものを横取りしようとする」とかいうこと、幼い子によくありますよね。このお話は、お母さんの日頃の悩みに直結しているからこそ、時代を超えて愛されるロングセラーなのかもしれません。
5.「やまなしもぎ」/福音館書店
「子育てにいい日本の絵本どれですか」という私の問いかけに、二三代さんが1番に選んだのがこの本でした。二三代さんいわく、「桃太郎や一寸法師をはじめ、日本の昔話には、主人公が英雄になるというストーリーが人気です。しかし、私も子どもを育てた一人の母親として、病気の母のために子どもたちがやまなしをもぎに山へいくという話はとても心打たれました。今でも大好きな作品の一つです」と教えてくれました。
途中で登場するおばあさんのアドバイスを聞く、聞かないで3兄弟それぞれ違った結果になりましたが、もともと「お母さんを助けたい」という気持ちは3人とも同じだったので、最終的に家族4人で幸せになれたことがとても良かったと思います。
〜インタビューを終えて〜
今回、絵本の紹介をするとともに私の感想を交えさせてもらったのですが、正直これについては迷ったところです。なぜなら、二三代さんから
「絵本は、知識を得るために読むものではなく、子どもの心のために読むもの」
というアドバイスをいただいたからです。
なので、今回は感想をメインに、あえてそれぞれの絵本のあらすじは極力書かないようにしています。
二三代さんいわく、
「今でも店でよく子どもたちに絵本の読み聞かせをしますが、本当に思いもよらないところで、子どもたちがすごい反応を見せることがあります。そのたびに『やっぱり大人より子どもの方がずっと感受性豊かなんだなぁ』って感心させられるんですよね。」とのこと。
教育という観念で絵本を捉えた場合、どうしても親側は「この絵本にはこんな効果がある」とか「この部分を聞かせなくてはいけない」という思いで頭でっかちになってしまいがち。しかし、絵本を読み聞かせをする上で大切なことは、「何を読んだか」ではなく、親が寄り添って、「子どもがどの部分にどう反応しているか」を見守ることですね。
最後になりましたが、今回の取材にご協力いただきましたひつじ書房ならびに店主の平松二三代さん、誠にありがとうございました。
ひつじ書房
http://www.hituji3.com
いつつからも将棋の絵本の販売をしています(^∇^)
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