連載:神戸新聞「随想」 2017年7月13日
甘い香り漂う「桂馬」の正体
「大橋流」と「伊藤流」。これは、将棋における駒の並べ方の2大流派です。近くにあるものからひょいひょい並べればいい。そう思う方もいるでしょうが、そこはきちんと決められた手順で並べてこそ将棋のお作法なのです。
さて、私が子どもたちの駒の並べ方を伝授するとき(主に大橋流=玉、金銀、桂香、角飛車、歩の順で並べる方法)、「こうやって並べてね」と方法だけに言及しても、子どもたちはこちらに見向きもしてくれません。そこで私はよく、並べ方と共に大橋流にまつわるトリビアを披露します。
大橋流の大橋とは、江戸時代の将棋ご三家「大橋家」に由来します。そして、大橋家の中でも、特に有名なのが、初代名人の大橋宗柱。桂馬の駒の使い方に長けていたことから織田信長よりその名を賜りました。という話が残っているのですがこれはどうやら、後の時代に創作して付けたお話のようです。初代名人から、現在の十九世名人羽生善治さんまで脈々と受け継がれています。
続きまして、今度は桂馬に関するトリビアです。金銀は分かるけど桂馬って一体なに?そう思ったことがある人は結構多いと思います。この疑問に対する答えは諸説あるのですが、実は肉桂。つまりニッキやシナモンなのです。これはさすがに予想外なのではないでしょうか。
過去の「随想」でも、将棋は宝物のゲームというお話をさせていただきました。小腹が空き始めるこの時間帯、シナモンロールにアップルパイ、八つ橋などなど。甘い香りが漂う肉桂は今の私にとって金銀より価値のある宝物かも。
この記事は、神戸新聞「随想」にて、中倉彰子が寄稿したものと同じ内容のものを掲載しております。
:『神戸新聞』2017年3月9日 夕刊
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