株式会社いつつ

連載:東京新聞「子育て日記」 2017年12月11日

振る舞いお兄さんっぽく

中倉 彰子

11月から地元東京都府中市で「いつつ子ども将棋教室」を開いています。

その中には「のびのび将棋教室」というクラスがあり、講義よりも将棋を指す実戦や詰将棋(将棋のパズルのようなもの)をメインにしています。5歳の年中さんから5年生までの生徒がいるので、我が家の長男シン(7歳)も通ってきます。シンも普段は3兄弟の末っ子で甘えん坊ですが、年下の子と指す時は、振る舞いもお兄さんっぽくなるので不思議です。

ある日の年中さんとの対局ではシンが「二歩」という禁じ手(ルール違反の手)をうっかり指してしまいました。「あ、二歩指してしまった。」とすぐに認め、この後対局を続けてよいか私に聞いてきました。「記録カードには負けと書くけど、そのまま練習で続けようか。」と二人に言うと、素直に「ハイ」。勝ち負けよりも禁じ手を指したらごまかしたりせず、ちゃんと認める様子をみて、良かったなと思いました。ちょっと感心したと思ったら、次の年上のお兄ちゃんとの対局では終わったあと、お兄ちゃんを笑わせようとしてふざけるシン。お調子者は誰に似たのやら・・・。

普段は甘えん坊のシンも将棋ではお兄さんぽい一面も
普段は甘えん坊のシンも将棋ではお兄さんぽい一面も

年齢の違う子どもたちでも同じ土俵で戦えるのが将棋の良いところ。ここでは、学年が下でも勝つことができますし、年下に負けるという経験もあります。子どもたちには、日頃から「負けることは気にしない。反省して次の対局につなげることが大切だよ。」と言い続けてはいますが、他にも勝ち負け以外の部分で頑張ったところを見つけてあげたりと、子どもたちが楽しくそして負けをいやがらないような工夫を試行錯誤しています。

帰りは暗くなっているので、私の自転車の後ろにシンを乗せて帰ります。保育園時代に戻ったような感覚。教室であった出来事はもちろん、学校であったことなどを話していると、「ママ安全運転で行ってよ」なんて、言うことも一丁前になってきました。「ママ、モテるには、どうすればいいの?」なんてきいてくることも(笑)。クラスで気になる子でもできたかな?保育園の送迎の時は、余裕がなくて自転車をこぐだけで精一杯だったけど、こうして会話ができると我が子の成長を感じながら、何より私が楽しい気持ちになります。

小学校も学年があがるごとに、わが子がどんどん”遠く”へ行ってしまう感じがあります。この後、中学校・高校……と進むにつれて、親子の会話をする時間やふれあいも少なくなっていくのかもしれません。長女、次女、末っ子と、順番に私の関わりが減ってきています。ただ時々長女でも甘えたくなる時もあると思うので、自立を見守りながらも何かあったときは助けてあげられるちょうどよい距離感を日々模索しています。

この記事は、東京新聞にて中倉彰子が連載している「子育て日記」と同じ内容のものを掲載しております。
:『東京新聞』2017年11月17日 朝刊

楽しく将棋を指したいお子さんはいつつ将棋教室

神戸のしょうぎやさんいつつでは、将棋を始めたばかりのお子さん、将棋が好きな方にぴったりの将棋テキストや雑貨を取り扱っています。

この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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