将棋を学ぶ 2017年5月9日
知っているとかっこいい将棋のお作法
前回のいつつブログでは、「これだけは覚えておきたい将棋のお作法」と題して、誰かと将棋を指すときには、必ず守ってほしい将棋のお作法についてお話させていただきました。
しかし、実のところ将棋には、前回お話させていただいたこと以外にも、様々なお作法が存在します。そこで今回は、前回のように絶対守らなくてはならない、というわけではないですが、「知っている」もしくは「できる」と、まわりから「おお!!」と、一目置かれるようなかっこいいお作法について話したいと思います(^ ^)
1. 大橋流、伊藤流で駒を並べる
代表的な将棋の駒の並べ方には、大きく分けて「大橋流」と「伊藤流」の2種類があります。それぞれ、江戸時代の将棋御三家「大橋家」と「伊藤家」で使われていたことからその名がつきました。
現在では、「覚えやすい!」という理由から大橋流が主流になっていますが(いつつのイベントでも大橋流を教えています(^ ^))、実は、複雑な伊藤流の駒の並べ方にもちゃんと意味があります。
それは、自分の駒を並べている途中で、いくつかの駒の利きが相手の陣地に直接届かないようにすること。つまり、相手を敬った指し方であると言えます。
複雑な並べ方をちゃんと覚えているだけでもスゴイ!!と思うのですが、こうした所作の背景にある、日本の伝統文化らしさなんかを知っていると、やっぱりちょっとかっこいいですよね( ´ ▽ ` )ノ
2.振り駒で先手後手を決める
振り駒とは、二人の対局者のうち、どちらが「先手」どちらが「後手」かを決める方法です。
まずは、初期配置の状態から、王側(将棋では通常、上手もしくは年長の人が王を使い、下手、もしくは年下の人が玉を使います)の3〜7筋に並ぶ5枚の歩を両手の平で包み込み、駒を手の中でよく振ります。
次に、振った駒を盤面の真ん中に広げます。
※ちなみに、タイトル戦など脚付の将棋盤などを使用する場合は、振った駒が下に落ちるかもしれないので、畳の上に駒を広げることが多くなります。
最後に、盤上に振った駒の、「歩」と「と金」の数を数えます。5枚のうち「歩」の方が多く出た場合は駒を振った側が、「と金」の方が多く出た場合は、駒を振らなかった側が先手となります。
また、滅多に起こらないことではありますが、振り駒にも特別ルールがあります。それは振った駒が立ってしまったり(写真1)、駒が重なってしまったとき(写真2)です。駒が立ってしまったときや、駒が重なってしまった場合は、立ったもの、重なっているものを除外して考えましょう。ちなみに、写真2の場合だと、一見「と金」の方が多く出ているようですが、「と金」2枚が重なっているので除外。残り3枚のうち「歩」が2枚、「と金」が1枚なので、振った側が先手となります。
3.ピシッと駒を動かす
これすごく憧れますよね(^ ^)気のせいかもしれませんが、駒を動かす仕草が美しいと、将棋を指したときに出る駒と盤がぶつかる音もいいような気がします、笑
ちなみに、イベントなどで中倉が指しているのを、見よう見まねでしていたのですが、なかなか上手くいかなかったので聞いたところ、この「ピシッと駒を指す」には、どうやら方法があるようです。方法は以下の通り。
①親指と中指で駒を掴む。
※人差し指、中指、薬指の3本で駒をつまむ方法もあります。
②親指でポキっと駒を立てる。
③駒の下へ人差し指を入れる(この時、奥まで人差し指を入れ込まないことがポイントです!)
④指す。
最初のうちは、駒を置く時にぺちょっとなったり、そもそも駒を扱いにくかったりするかと思うのですが、最初から上手く指せる人はほとんどいないので、根気強く練習しましょう。プロ棋士の方たちの将棋を指す姿が美しいのも練習の賜物なんですね(^ ^)
4.駒台の駒は扇に並べる
スマホのアプリやパソコンのゲームに親しんでいると、取った駒は自動的に、下、もしくは横に並べられるのが一般的かと思うのですが、誰かと実際に指すときは、取った駒は自分の手で、自分の駒台に置くことになります。
このとき、将棋のルールに、こう並べましょうといった決まりはないので、もちろん置き方は自由なのですが、完全情報公開の将棋においては、自分がどの駒を持っているのか、相手から見やすければ見やすいほどスマートであるといえます。
駒の方向が揃っていることはもとより、なるべく駒台の真ん中の方に置いたり、大駒と小駒を分けたり、さらに持ち駒が増えてきたら、駒の辺と辺をくっつけて、綺麗な扇の形にすると、駒台の上がなんとなく整頓されているような気がしますよね(^ ^)
5. チェスクロックは盤から少し離れた位置に
大会に参加したときくらいにしか使う機会のないチェスクロックですが、そんなチェスクロックにもかっこいい使い方があるようです。
普通に考えると、チェスクロックは、「押しやすい」「時間を確認しやすい」という二つの観点から自分のそばに置きたくなるのですが、中には、将棋盤から少し離れた場所にチェスクロックを配置する人がいます。
これは、4番と同様に、相手に自分の情報が見やすいように配慮したものです。チェスクロックの影が盤面にさしたり、チェスクロック本体が妨げになり駒台の上を確認しにくくなることを防ぐ目的があります。
1分1秒を争うかもしれない状況下で、これだけ相手に対して思いやりが持てるというのは、自分の棋力に自信があり、心に余裕が持てている証拠なのかもしれませんね(^ ^)
さて、今回は、「知ってる」「使える」とかっこいい将棋のお作法についてお話しましたがいかがでしたでしょうか?
こうして、5つのお作法を並べてみると、将棋道というのは、相手に思いやりがあってなんだかとても紳士的な感じがします
(^ ^)
いつつとしては、子どもたちが、将棋の楽しさや、基本的なルール、そしてあいさつなど基本的な礼儀やマナーを身につけてくれれば、それで十分嬉しく思いますし、駒の並べ方も指し方も、子どもたちの自由でいいと考えています。しかし、いろいろある将棋のお作法や、その意味などを理解できるようになれば、子どもたちにとって将棋はよりいっそう奥深く、そして、そんな将棋をしていることに喜びを感じることができるんじゃないかと思います。
他にも、いつつブログでは、将棋についての記事がいっぱいあります。
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