将棋を学ぶ 2019年8月25日
将棋初心者の子どもたちのつまずきポイント⑦王手で玉を逃してしまう
追いかけられたら逃げます!
将棋は相手の玉を取ったら勝ちです。そこで、始めのうちは王手(次に自分の番が来たら相手の玉を取れる指し手)を見つけると元気よく「王手 ! 」と言って王手をかける様子が見られます。(ちなみに「王手」は言わなくてよいです。)
王手は追う手
王手をかけられたら相手はどうするでしょうか ? もちろん待っていてはくれませんね。取られないように逃げたり、駒を使って守られたりしてしまいます。そこでまた玉を取ろうとして王手をすると、その度に相手の玉が逃げてどんどん広い方に行ってしまったり、守りの駒が増えたりして、攻めるのを大変にしてしまうということが起きるのです。
特に将棋初心者の場合は守りを固められるより、玉を逃してしまうことが多いように思います。それは一方向から王手を繰り返してしまうためです。虫や魚を捕まえようとするのと同じで、一方から捕まえようとしても反対方向へ逃げてしまいますよね ?
下の図は☗2一竜と王手したところです。これは良い手でしょうか?
残念ながらこの手はあまり良くありません。せっかく一段目にいた玉を二段目へ逃してしまいます。
このように玉を王手で逃してしまうことはよくあり、それを戒める将棋の言葉 ( 格言 )があります。ダジャレのようですが「王手は追う手」。王手ばかりだと玉を逃して捕まえずらくしてしまいますよ、という意味です。
それでは、玉を取るにはどうしたらいいのでしょうか。もちろん最後は王手をかけて詰みにすれば勝ちになります。ただ、何度も言うようにむやみに王手をかけていてもだめなのです。
「玉を取る」ではなく、逃さないようにする
ポイント1:狭い方に追う
玉は1マスずつしか動けないので、移動は遅いです。でも、上下左右、斜めと好きな方向へ動けるので、逃げ場所は多いと言えます。
そこで、捕まえやすくするためには玉の動ける場所を減らすようにします。特に下段や隅に追い詰めると、動ける場所が減り捕まえやすくなります。
下段というのは相手から見て下の段なので一段目を指します。下の図では玉が3つ置いてありますが右上の玉と7列目の玉が下段にいると言えます。
動ける場所( 青い丸 )を数えてみると、1一( 右上 )の玉は3ヶ所、7一( 左上 )の玉は5ヶ所、6五( 中央付近 )の玉は8ヶ所です。下段の玉の動ける場所は少ないことが分かりますね。
ただ、ここで注意したいことがあります。それは上段には追い詰めないようにすること。上段では、同じように動ける場所を減らしていますが、自分の駒があまり使えず攻めるのが大変だからです。(将棋の駒は前に進む動きが多いので、横や後ろある相手の駒は攻めずらい)
下の図を見てみましょう。青い丸が玉の動ける場所です。下段の玉と同じように5ヶ所です。ただ、自分の駒の桂や香、歩は前にしか進めないので玉を攻めるのに使えません。
また、相手玉が自陣へ向かってくることで自分の玉も危険になってきます。なぜなら相手が玉を守ろうと打った駒が、守りだけではなく攻めにも利いてきてしまうからです。
ポイント2:待ち駒をする
こうしたことから、玉を上段へ逃げられそうになったら止めるようにしましょう。そこで覚えたいのが「待ち駒( まちごま )」と呼ばれる駒になります。「待ち駒」とは、その名の通り玉を待ち受ける駒です。王手をせず、玉が逃げていきそうなところへあらかじめ自分の駒を置いておきます。銀や金など玉の動きと似ている駒が待ち駒に向いています。
この「待ち駒」があることにより玉はその方向へ進むことができず、捕まえやすくなるのです。待ち駒が壁の役割をして通せんぼしているイメージです。
ポイント3:相手に駒を渡すことを恐れない
最後に、玉を追い詰めていく上で覚えてほしいテクニックがあります。それは自分の駒を犠牲にして相手玉を捕まえやすい形にするという方法です。
玉を少しずつ追い詰めていくことができていても、あと一歩で逃してしまうという場面をよく目にします。もうすぐ勝てそうだと思うと慎重になり、遠くから駒を取られないように攻めてしまう。そうしているうちに逃げ出されてしまったり、待ち駒を狙われてしまったりして捕まえそこねてしまうのです。
将棋は、序盤と終盤ではそれぞれ考え方を変えます。序盤は相手に駒を取られないように指します。しかし終盤は駒を渡すことよりも玉を取ることが最優先になります。
極端ですが、玉が取れれば飛車や角もいらないのです。そこで、初めて見ると驚いてしまうのですが、玉を寄せるために大駒を捨てる手が出てきたりもします。
下の図では、次にどう攻めますか?
☗6二飛成がよく指されるのですが、ここでは☗2一飛成と攻めましょう。☖1三玉には☗2三竜なので☖同玉と取るしかないのですが、そこで☗2三銀成としておきます。
第3図では後手に受けがなくなっています。☖2二飛には☗3三桂で☖3一玉には☗4一金、☖1一玉には☗1二歩〜☗2一金までの詰みになります。
王手ができるとつい王手をしたくなってしまいますが、将棋は「次に厳しい手を指せるように準備をする手」が良い手になりやすいです。目先の王手に飛びつかず、玉を逃さないということを心がけて下さいね。
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