将棋を学ぶ 2018年9月14日
将棋初心者の子どもたちのつまずきポイント⑤持ち駒を使えない
将棋初心者どうしの対局では、駒台の上が相手から取った駒であふれんばかりという光景をよく見かけます。将棋の目的が、相手の玉をとることから、いつの間にか駒を集めることに置き変わってしまっているということも考えられますが、将棋初心者の子どもたちの駒台の上がこのようになってしまう1番の要因は、「持ち駒の存在を忘れてしまっている」「持ち駒の使い方をよく分かっていない」という点にもあるように思います。
そこで今回の将棋初心者の子どもたちのつまずきポイントシリーズでは、持ち駒を上手く使うポイントについてお話ししたいと思います。
point1 駒台の上はきれいに
将棋は完全情報公開制のゲーム。ですので、持ち駒はちゃんと相手に見えるように、駒台の上にきちんと並べようね、というお話しをいつつの将棋教室でもよくします。ただ、自分がどの駒を何枚持っているのかを把握しなくてはいけないのは、対局相手だけではなく自分自身も同じです。
もし、駒台の上がぐちゃぐちゃだと、相手もそうですが、自分自身も何を何枚持っているのか見にくいですよね。
駒台の上は上の写真のように、種類ごとにまとめて置くようにします。価値の高い駒を上におく、または歩など価値の低いものを上におくなど人によって違います。ちなみに私は歩の上にして価値の低い順番に置いています。
また、駒台の駒をきれいに並べることのメリットは、ただ見やすいというだけでなく、都度都度並べるという所作をすることで自分が何の駒を持ってたのか確認するきっかけになります。どんなにきれいでも、どこに何があるのか分からない部屋は使い勝手が悪く不便ですよね。将棋も自分の駒台という部屋にどの駒がどれだけ収納してあるのか常に把握してないと、いざというときに上手く持ち駒を使えなくなってしまいます。
上手く持ち駒を使うための大前提として、まずは相手の駒を取るたびに駒台の上をきっちり並べるというクセをちゃんと身に付けられるといいですね。
point2 持ち駒の使い方を覚えよう
両取り
両取りとは、1枚の駒で2枚の駒を同時に狙うマスに、駒を動かしたり、持ち駒を打ったりすることを指します。狙った2枚の駒のうちどちらかは必ず取れるので、とても上手な持ち駒の使い方です。ちなみに、写真で出ている桂以外にも角や銀、飛も両取りを狙いやすい駒と言われています。また、両取り中でも、「玉」と「飛車」の両方を狙うことができる手を「王手飛車」といいますが、「目から火の出る王手飛車」という将棋の言葉があるように、実戦で王手飛車を見つけることができたら、相手に大きなダメージを与えることができます。
以上のように、両取りは将棋においてとても効果的な手ではあるのですが、1点気をつけたいことがあります。実は、片方が歩の場合は両取りにはならないのです。
なぜ片方が歩だと両取りと言わないかというと、歩は将棋の駒の中でも一番価値の低い駒だからです。先ほどいくつか両取りを狙いやすい駒を挙げましたが、それらの価値を鑑みると、わざわざそれらの駒を投入してまでも歩を取りに行く必要はないということがありえるからです。
ただ、歩は将棋の駒の中で最も価値が低いとされる一方で、「一歩千金」という将棋の格言もあります。確かにこの格言が示すように、場合によっては、1枚の歩が決定打となるような場面もありますので、そんな時は、歩を取るために持ち駒を使ってもいいでしょう。
両取りの局面は、そんなに頻繁に出てくるわけではないですが、持ち駒に、角・銀・桂などの駒が入ってきたら、両取りを狙えないかな!?と局面をくまなくみるようにしましょう。
ちなみに、将棋の駒の価値については、「将棋初心者の子どもたちのつまずきポイント①駒の価値」で詳しく解説しています(^ ^)
相手の駒を狙って打つ
両取りを狙うのが難しい場合は、単純に相手の駒を狙って打っても大丈夫です。
ポイントは、相手から取られないように、自分の駒を打つことです。特に飛・角は遠く離れた位置からでも利きを狙ったマスに届かせることができます٩( ‘ω’ )و
合駒
王手や取られそうな駒をふせぐために、自分の駒と相手の駒あいだに持ち駒を打つことを「合駒(あいごま)」といいます。
例えば、図のような局面の場合、3八や1八に玉を逃して王手を回避することもできますが、これだと2九の桂馬がただで取られてしまう上に、自陣を突破を許し龍に変身されてしまいます。そこで、図のように持ち駒の歩を2七に打つとどうでしょうか?相手は、桂馬を取れないどころか、歩を取りにいくと、玉に自分の飛車を取られてしまうので、今の場所から動けなくなりますよね。このように、持ち駒は、攻めだけではなく、時には大切な駒を守るための盾として使うこともできるのです。
ちなみに、守るために打っても、すぐに取られてしまうようなマスに打つことを「無駄あい」といいます。これは、大切な持ち駒を無駄に捨てるようなものであると同時に、取られた駒は相手の戦力になるので、わざわざ相手の手助けをしてあげてるようなもの。合駒をするときは「無駄あい」にならないよう十分気をつけましょう。
point3 歩の手筋を覚えよう
なぜ歩の手筋かというと、歩は盤上に18枚と最も数が多いので、持ち駒になることも多いです。つまり、いかに上手く歩を使うかが、持ち駒を上手く使えるかどうかの1つの指標になるんです。
そこで今回は、将棋初心者の子どもたちでも使いやすい、歩の上手な使い方(手筋)をいくつか紹介したいと思います。
※ただし、歩の手筋を使う時の注意点として、自分が持ち駒の歩を打とうとしているマスと同じ筋に自分の歩が既に置かれていないのか必ず確認するようにしましょう。「二歩」は将棋初心者の中で最も多いといっても過言ではないつまずきポイントでしたよね(;´д`)
垂れ歩
垂れ歩とは、と金を作ることを目的に、4段目に持ち駒の歩を打つことを指します。歩はと金になることで、金と同じ動きになりますが、相手に取られると、歩にもどることから、「と金は金と同じで金以上」とか「まむしのと金」とかっていわれていますね。
合わせの歩
あえて相手の歩の前に自分の歩を置いて、その歩を取らせる手筋を「合わせの歩」といいます。合わせの歩はおとり作戦のようなもので、自分の歩を取らせることで、相手の歩をずらし狙った手を指すことが目的になります。
叩きの歩
叩きの歩は合わせの歩と大変よく似ています。違いは、持ち駒の歩を、相手の歩の前に打つか、歩以外の駒の前に打つかです。「たたく」という表現は面白いですよね。でも実際には叩きつけるように駒を打つことはしないでくださいね(;´д`)
底歩
持ち駒の歩を、自陣の最下段に打つことを底歩といいます。底歩を打つことで受け(相手からの攻撃に対処すること)の時に効力を発揮することができます。また、将棋には「金底の歩岩より堅し」という言葉があり、特に金の下に歩を打つことで、頑丈な壁が出来上がります。
さて今回は、将棋初心者のつまずきポイントして、「持ち駒を使えない」を取り上げさせていただいたのですがいかがでしたでしょうか。持ち駒の上手な使い方さえ押さえておけば、駒台に山盛りの駒が残ったまま「負けました。」ということもなくなると思います。相手の駒を取ることも大事ですが、取った駒を上手に使うこともまた同じように大事です。
★将棋初心者の子どもたちのつまずきポイントシリーズ★
将棋初心者の子どもたちのつまずきポイント①駒の価値
将棋初心者の子どもたちのつまずきポイント②駒の交換
将棋初心者の子どもたちのつまずきポイント③ 相手の駒の利きが見えない
将棋初心者の子どもたちのつまずきポイント④ 二歩
今回解説した持ち駒の上手な使い方は、女流棋士中倉彰子が制作した初心者向け将棋テキスト「はじめての将棋手引帖2巻」に収録しています。
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