将棋を教える 2017年5月17日
『あえて勝つ』ことで子どもたちに示せること
いつつブログで何度か、上手(棋力が高い方が)がわざと負けてあげることも、時には必要というお話をさせていただきました。
というのも、負けてばかりいると子どもたちの将棋へのモチベーションが下がってしまい、そのうち将棋自体をしなくなってしまうからです。
しかし先日、とある将棋の指導者の方と「子どもが将棋で負けてしまった時の気持ちの整理の仕方」について話をしていたところ、「あえて、『勝つ』選択肢をとることもある」というお話を聞きました。
その方がおっしゃるには、確かに負けること自体、子どもたちにとってとても悔しいことに違いないのですが、「自分だけが負けている」ということが、その落ち込みを、なお一層深刻なものにするというのです。
「あの羽生さんだって昔はいっぱい負けていたんだよ」。そんなことを言ってはみるものの、実際自分だけ勝てないという状況は、確かに子どもたちにとっては、とても辛いものですよね(^_^;)
その指導者の方いわく、負ける子を一人ぼっちにしないために、あえて教室にいる子どもたちみんなに勝つようにしているそうです。そうすることで、「誰でも負ける」「負けてもみんなそれを乗り越える」という光景を、実際に見せてあげることができると言っていました。
少し話が変わるのですが、先日、どこかのwebニュースで、最年少棋士、藤井聡太四段の活躍で、今子どもたちの間で将棋アプリが流行っているとの記事を見かけました。
私がこの記事を読んだ時、ふと思い出したのが先述の指導者の方の話です。
将棋のアプリでも、当たり前に「負ける」ということがあると思います。しかし、アプリの場合であれば、元から一人だし、相手の顔も見えないということもあって、「自分だけが負けた」みたいに思い悩むことはないのではないでしょうか。しかしその一方で、「誰でも負ける」「負けてもみんなそれを乗り越える」といった光景は、アプリでは見ることができません。
個人的な意見ではありますが、将棋の魅力とは、単にゲームとして面白いということ以外に、将棋を通じて自分の心を成長させることができるという点にあるような気がしています。
今の子どもたちが将棋アプリを通じて、将棋を楽しむこと自体は大いに歓迎なのですが、できることなら、アプリ以外の将棋(例えば将棋教室や将棋道場など)にも触れてもらい、自分の負けを受け止められるような、そしてそれを乗り越えていけるような強い心を育んでもらえるといいなぁと思います。
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