将棋を楽しむ 2016年6月29日
将棋好きママになるために!女性におすすめの将棋本「透明の棋士」を紹介
以前にメルマガでも紹介させていただいたのですが、
先日、本屋さんでブラブラしているとこんな本を見つけました。
「透明の棋士」/北野新太(ミシマ社)。
4月にいつつに入社して以来、なんとなく私も「将棋の勉強しなくっちゃ」と思い、度々書店の将棋関連書籍のコーナーに足を運んでいたのですが、なんともシブい、いやシブすぎるくらいの装丁のものがずらりと並んでいて、どうも恐れ多く結局買えずにいたんです。
そんなところに目に飛び込んできたのがコレ。
将棋本とは思えない見た目の可愛さに思わず一目惚れしました。
さて、前回のメルマガ連載「和(なごみ)✳︎育(はぐくむ)」では、ママが将棋好きになるために、こちらの書籍の見た目の可愛さやその可愛さを生かした活用法について紹介させていただいたのですが、今回のブログでは、この本の中身について触れてみたいと思います。
この本の感想ですが、まず一言「可愛い見た目に騙されるな!」ということです∑(゜Д゜)
愛らしいクジラのキャラクターが「コーヒーと一冊」という文言とともに「オモシロイヨ」と話す表紙。この表紙から、「おじいちゃんが晴れの日に庭の縁側で膝に猫を抱えながら一局」みたいなゆるいストーリーを想像していたのですが、全くゆるくありませんでした。
本書で描かれるのは、筆者である新聞の文化面担当の記者とプロ棋士たちとのリアルなやり取りです。そこから私たち読者が読み取れるのは「ゆるい」どころか、想像をはるかに超えたストイックな世界でした。(内容はストイックですが、文章はとても読みやすくサクサク読めますよ)
私が本書で最も印象に残っているのは「after the fight 〜戦いの後で〜」の章です。
これは、第61期王座戦五番勝負の最終局、羽生善治王座と中村太地六段の対局後のやり取りについて書かれたものです。
将棋ではよく「美しい棋譜」などの表現されますが、作中に登場したのは中村六段の「美しい投了図」です。
「成桂、銀、金2枚が中央に大きな四角形を描き、攻防の両面で盤上を制圧している」や「9四の地点から玉を睨む角も利いている」といった投了の盤面のどこがどう美しいのか、というのは将棋の勉強を始めたばかりの私にはまだまだ分からない領域です。
しかし、「どうせ殺されてしまうなら、いちばん綺麗な形で、と思った」という中村六段の言葉にはどこか心動かされるようなものがありました。
昔、漫画スラムダンクの中で安西先生の「諦めたらそこで試合終了ですよ」という名言がありましたよね。
確かにバスケットボールのように時間が来れば自然と勝敗がつくものに関しては、終了のホイッスルが鳴るその瞬間まで勝利を信じて全力でやりきることが正しい戦い方なのかもしれません。
しかし将棋は他のスポーツや文化とは異なり、「負けました」と自ら負けを認めなくてはいけません。
自ら終止符を打つからこそ、どのように散っていくのかその演出、「負けの美学」みたいなものが成立するのだと思います。
私はこの『透明の棋士』について完全にカタチから入りました。
しかし、この本を読む前と後を比べてみると、この本を読んだ後の方がずっと将棋に興味を持つようになったし、将棋を好きにもなりました。
もし、いま「将棋に興味あるけど、なんか敷居が高くてとっつきにくい」という人がいたら、ぜひカタチから入ってみてください。入り口はどうであれ、きっとその先で好奇心以上の何かを見つけることができると思います。
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