株式会社いつつ

将棋を楽しむ 2017年1月20日

小さな子供が将棋好きになるための5つのハードルと克服法

中倉 彰子

野球やサッカーなどのスポーツ、スマホのゲームなど、いろいろある娯楽の中でも、「考える力が養えそう」「礼儀作法が身につきそう」といった理由から、子どもに将棋をしてほしいと考える親ごさんは少なくないと思います。

子どもが小学生くらいの年齢であれば、まわりのお友達がしていたり、学校の先生に教えてもらうなど、将棋を学んだり楽しんだりするための環境が十分に整っていると思うのですが、まだ学校に通う前の未就学児となると、話はまた違ってきますよね。そもそも、見た目渋めの将棋に小さな子どもが興味を示してくれるのか、また、子どもが将棋に興味を持ってくれたとして、難しい漢字や、複雑なルールにちゃんとついていけるか、そして一体どのように将棋を教えればいいのかなどなど、未就学児が将棋を始める上での問題点が山積みですよね(^_^;)

そこで今回のいつつブログでは、私が、これまで将棋教室などで指導してきた経験の中で気付いた、小さな子どもが将棋をする(興味を持つ、継続する)うえでのハードルとその克服法についてお話ししたいと思います。
自分で言うのもなんですが、将棋はとても楽しいし、魅力いっぱいです。まだ幼いからという理由で諦めてしまうのはすごくもったいないような気がします。なので、どこまで皆さんのお役に立てるのか分かりませんが、もし子どもに将棋をさせるかどうか迷っている親ごさんがいればぜひ参考にしてみてください(^ ^)

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ハードル1:子どもが将棋に興味を持たない

克服法:まずはパパ・ママがやってみる

まずはパパとママで将棋
まずはパパとママで将棋

お手伝いなんかもそうですが、子どもに興味がないことをやらせるというのは、とても大変ですよね(^_^;)。私も片付けを「片付け競争ゲーム」と題して、3人の子どもとゲームのような遊びにして、取り組ませたり、試行錯誤しています。しかしながら、その一方で、興味を持つと大人が驚くほどの集中力を発揮するというのもまた子どもたちです。

将棋の場合、まず大人であるパパやママが子どもたちに将棋を楽しむ姿を見せてあげる、なんていうのはどうでしょうか。特に小さなお子さんはママやパパのまねっこをするのが大好きです。「わ〜駒を取られちゃった」なんて言いながら二人でわいわい対局していると、自然と「ぼくもぼくも〜」となると思います。将棋に関心がなくても、ママやパパには興味津々なんですね(^ ^)

最初のうちは「将棋をするママやパパと一緒に遊ぶのが楽しい」といった感じで将棋に触れることになりますが、次第に「将棋楽しい」に変わっていくのではないかと思います。まずは、子どもが将棋に関心を寄せるようなきっかけや雰囲気づくりが大切ですね(^-^)

ハードル2:漢字が読めないのでは?

克服法:漢字を特徴で説明する

子どもは漢字を絵で覚える
子どもは漢字を絵で覚える

未就学のお子さんとなると、漢字どころかひらがなもあやしいものだと思われるかもしれませんが、私の将棋教室などでの経験をもとに言うと、「案ずることなかれ」です(^-^)

大体5歳くらいのお子さんであれば、漢字を絵として認識するようで、意外とすんなりとこのハードルを飛び越えてくれます。もし、子どもたちが漢字を覚えるのに手こずっているようでしたら、「おおきいお屋根のある金」「小さいお屋根の銀」「桂は横棒がぴぴぴぴと4つあるね」と特徴をわかりやすく解説してあげるといいかもしれません。

ちなみにですが、小さな子どもたちよりも、外国人の方が漢字の識別に苦労するようで、なんでも彼らにとって漢字は虫のように見えるみたいです、笑

ハードル3:すぐ飽きる

克服法:将棋を使った簡単なゲームをする

合間にゲームの要素を加えてみる
合間にゲームの要素を加えてみる

小さなお子さんにとって、「つまらないことを我慢する」というのはとても難しいことかと思います(^_^;)。そのあたりは、子どもほど素直ですよね。私が子ども教室を開きはじめた時のはなしですが、長々と駒の動きを一から説明していると、見ている子があくびを・・(笑)。反省。子どもに興味があるような話題もまぜながら、楽しく解説する工夫が必要だと身にしみにてわかりました。

さて、「漢字を覚える」というの、は比較的親しみやすい作業だったかもしれませんが、その先にある駒の動きや、将棋のルールも同じかと言われると、実はそうではありません。1度聞いただけで全部理解できるお子さんなんていません。そして、どうしても覚えられない、何度聞いてもわからないとなると、せっかく子どもたちが将棋に興味を持って始めたにもかかわらず、将棋は「つまらないもの」として認識されてしまいます。

そこで、子どもたちに将棋を教える時は、最初に駒の動きやルールについて一気に詰め込むだけではなく、合間合間に、ゲームなどエンターテーメント的要素を挟んでみるのがいいと思います。これまでいつつブログでは、将棋パズルや王様おにごっこ、山くずしなどちょっとした将棋のゲームを紹介してきたのですが、将棋パズルや王様おにごっこでは「駒の動きに親しむ」、山くずしでは「駒の価値を知る」という目的があり、これらをすることで子どもたちにとっての息抜きになり、将棋のちょっとした学習にもなると思います。



(お風呂でも将棋♪のお風呂将棋ポスター。将棋を飽きずに続けるためにピッタリです!)

ハードル4:集中力が続かない

克服法:一局を短くする

集中力が続かない時は早めに対局を切り上げて
集中力が続かない時は早めに対局を切り上げて

将棋は集中力を使うゲームなのですが、小さい子にはまだ長い時間集中することは難しいです。何にでも興味のあるお子さんにとっては、あっちこっちと興味はどんどん広がっていきますよね。ただ、集中力というのは、長さより深さだと思います。例え5分でも集中して将棋盤の前で座って考えることができれば、いいと思います。それが、だんだんと10分、15分と伸びていくことができればいいのかなと思います。

相手が考えている間に自分も考えるというのはかなり上級になってからだし、ましてや、自宅でじっと座って黙々と将棋を指すなんてことは初心者の段階で基本的にはありません。なので、短い時間でも集中できたなら「それで良し」として一局を余り長い時間にならないようにします。もし、今ブログを見てくださっている方が、将棋が得意という親御さんであれば、頃合いをみて自然に負けるように持って行ってあげてください。「自然に負けるなんて難しい」という方は、こちらの負けるコツを紹介しています。

それでも難しい!というときは、「じゃあ今日はここまでにして続きは今度ね。」として写メで盤面を撮影。そして次回はその局面から始めてもいいかもしれません。

ハードル5:将棋の教え方・教える順序が分からない

克服法:将棋のテキストを参考に

図書館や本屋さんには意外に将棋書籍が多い?
図書館や本屋さんには意外に将棋書籍が多い?

これは子どもたちというより、教える側、つまり私たち大人側のハードルになりますよね。技術的なこともあるので、自分は将棋についてほとんど知らないというお母さんから、「子どもにどんな風に将棋を教えればいいのか分からない」「どんな順序で教えていいのか分からない」という相談をよく受けます。

確かに、家の近所に将棋道場や将棋教室があったり、おじいちゃんやお父さんが段位者といった、将棋に関して恵まれた環境でもない限り、体系だって将棋を学ぶというのは、難しいかと思います。

そこで、まわりに将棋を学ぶ環境がないという方には、初心者向けの将棋テキストや書籍を読むことをおすすめします。普段将棋をする人でもない限り、将棋書籍や将棋テキストにあまり馴染みがないかもしれませんが、実は、図書館やある程度大きな書店に行けば、比較的豊富な種類の将棋書籍・テキストが置いてありますので、きっと自分にあったものが見つかるかと思います(^-^)

ちなみに、いつつから出版している「はじめての将棋手引帖」(全5巻・現在2巻まで発売中)もこれから将棋を始めるお子さん、お母さん向けに作られた将棋テキストです。ママが将棋のルールを知らないなら、ママも子どもたちと一緒に将棋習っちゃえ!ということで、親子で将棋を楽しむための工夫をたくさん凝らしています。ご興味あればぜひ初心者向け将棋テキスト「はじめての将棋手引帖」を覗いてみてください(^ ^)

さて、今回は未就学児のお子さんが将棋を楽しく続けるための工夫について幾つか紹介させていただいたのですがいかがでしたでしょうか?小さなお子さんも含めてもっとたくさんの子どもたちに将棋に触れてもらえるととても嬉しく思います。

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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