将棋を楽しむ 2019年4月9日
桜の木の下で縁台将棋〜OSAKA STREET SHOGI〜
ご近所さんどうしが縁側に集まりみんなでわいわい。江戸時代、将棋はこんな風に楽しまれていました。
近年、動画配信サービスでプロ棋士どうしの対局が放映されるようになった影響などもあり、もしかすると、将棋というと対局者2人が静まり返った室内でただパシッ、パシッと駒音だけを響かせながら黙々と指すようなシーンを思い浮かべる人も多いかもしれません。しかしながら、当時の庶民に愛された縁台将棋は、もっと気軽で、そしてとてもオープンなものであったと考えられます。
さて、江戸時代から時を経ること約400年、再びこうした縁台将棋の魅力を、世間に向けて発信しようと奮起する人たちがいます。大阪に拠点を置くOSAKA STREET SHOGI (通称OSS)は、「縁台将棋を今風にアレンジすることによって地域の交流、将棋の普及を目指す」ことを目標に掲げ、2014年の立ち上げから、公園や川辺、船着場など様々な場所で縁台将棋のイベントを開催してきました。
そこで今回のいつつブログでは、いつつのスタッフが3月31日に大阪城公園で開催されたOSS主催の「お花見将棋」に潜入し、OSSの発起人である矢野達也さん(以下矢野さん)に縁台将棋の魅力について詳しくお話しをうかがしました。
将棋と好きなものをドッキング
-OSSの活動を始めたきっかけは何ですか?
矢野さん:実は私、もともと大阪で飲み屋の店主をしており、たまたま店に将棋盤と駒をおいていたのですが、5年くらい前にひょんなことからお客様と指すことになり、それがきっかけで将棋にハマるようになりました。
-昔から将棋を指していた訳ではないんですね。
矢野さん:はい。ルールと駒の動かし方くらいは知っていたのですが、本格的に将棋を始めたのは大人になってからです。なので、将棋にハマる前にも、キャンプやスノーボードなど色んな趣味があったのですが、将棋を指すようになり、将棋とこれら自分の好きなものを上手く融合させて何かできないかなぁと考えるようになりました。
-なるほど。それで中央の将棋の対局ブースの他に、テントやハンモックがあったり、三味線の音色が聞こえたり、どこかピクニックのような雰囲気なんですね。
矢野さん:もともと私の中で将棋といえば、おじいちゃんたちが公園に集まって、う〜んとか唸りながらも何やら楽しそうに指している縁台将棋だったのですが、その縁台将棋に、先ほど出たキャンプやピクニックの要素を加えることで、おじいちゃんだけでなく子どもたちや学生、ペットも、色んな人がコミュニティに集まりやすいようにしました。
将棋やりたい人集まれ
-確かに。まだ肌寒い時期の屋外イベントにもかかわらず老若男女問わずたくさんの方がこられていますね。今日はどれくらいの方が参加されているのでしょうか?
矢野さん:正確ではありませんが、入れ替わり立ち代りで大体100人くらいだと思います。告知はしていますが、特に事前予約などは必要なく、自由に出入りしてもらっています。将棋を指したいという人であれば、常連さんでも、飛び入り参加でも誰でも歓迎です。
-あちらの大きな将棋盤や櫓のようなものの下で行われる対局のところにはギャラリーも集まっていますね。とても目を引くので、通りすがりでも将棋を指したくなる人がたくさんいそうです。
夢は海外進出
矢野さん:色んな人というと、今日はフランスから来た友人も参加してくれていますよ。彼がワーキングホリデーで来日した時、チェスをするということだったので、将棋を紹介したんです。そしたら、将棋の指し方も覚えてくれてくれたんです。
-将棋とチェスはルーツが同じだから、チェスをする人にとって将棋は親しみやすいのかもしれませんね。先ほど指している姿も拝見させていただきましたが、全く違和感ありませんでした。
矢野さん:将来的には、今日のようなイベントの形を海外に向けて発進していけたらと考えています。将棋をはじめとした日本の伝統文化を古いものとして捉える人も多いですが、私はむしろそこが魅力であると感じています。今日は和装もしているのですが、将棋や和装といった古風な日本の文化を縁台将棋というイベントを通じてより多くの人に知ってもらえればと考えています。
-今日みたいに桜の木の下で指すとさらに日本の風流がますように感じます。将棋をはじめとした日本の古風で奥深い伝統文化を、美しい日本の風情とともにたくさんの人に届けることができたら素敵ですね。
取材後期
取材当日、参加者の方何人かに声をかけさせていただきました。
Twitterを見て京都からきたというお母さんと男の子は、日頃対局となるとアプリばかりになってしまうので、対面で将棋ができるいい機会だと思って参加されたそうです。最初は不安そうにしていたのですが、スタッフの方に声をかけられ同年代のお子さんと対局をすることに。先ほどまでの不安そうな表情からは一変し、和気藹々と将棋を楽しんでいました。はじめて会った人とでも仲良くできるというのが将棋のいいところではありますが、縁台将棋だと、その良さがより際立つような気がします。
また、お父さんと兄弟で来ていた参加者の方は、お兄ちゃんがかつて通っていた将棋教室の先生に教えてもらって参加したそうです。今回のイベントで久しぶりに将棋を指したというお兄ちゃんでしたが、まだ将棋を始めたばかりという弟も一緒にとても楽しそうに指していました。
将棋というと、今だに「敷居が高い」というイメージが根強いのですが、今回お邪魔した「お花見将棋」は、いい意味ですごく敷居の低い場所でした。「誰でもおいでよ」という縁台将棋ならではの懐の広さが、このイベントにも受け継がれ、多くの人の心を惹きつけているんだなぁと実感しました。
どこでも将棋、たまにはお花見♪ 持ち運びが便利で、華やかなどこたまはお花見のお供にぴったりです!
カードde詰将棋で縁台詰将棋も(^ ^)
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