株式会社いつつ

将棋を教える 2016年5月31日

子どもが将棋を始めた時、親が考えるべき5つのこと【ガチンコ編】

中倉 彰子

せっかく子どもが将棋を始めたのに、自分が将棋をしないから「子どもたちをどうサポートすればいいのか分からない」というお母さん、結構多いのではないでしょうか。

でも安心してください。将棋のルール知らなくてもちゃんとお子さんのサポートは可能です。

今回は、「子どもが将棋を始める時、親が考えるべきいつつのこと」と題して、子どもさんが将棋を始めたときに、親が上手くサポートするためのいつつのコツを紹介したいと思います。

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1.「負けは恥ではない」ことを伝える

対局の様子を思い浮かべてもらえれば分かると思うのですが、将棋は1対1の真剣勝負です。

そのため、子どもたちにとって「負けたくない」という心理が働くのは当然です。相手が年上の先輩や師匠など、明らかに実力差があるのならともかく、同年代のお友だちとかだったらなおさらですよね。

また、子どもたちと同様に、親にとっても自分の子どもが他の子どもに負けてしまうことは、悔しかったり、残念な気持ちになると思います。

しかし、このような場面で親が一番やっちゃいけないがこの「悔しい」「残念」の気持ちを子どもに示してしまうことです。

なぜなら、本当に悔しくて残念なのは負けた子どもたち自身です。お母さんやお父さんが一緒になって落ち込むことは、ますます子どもを追い込む結果になります。

それではこんな時、将棋に負けて落ち込む子どもに対してどのように対処すればいいのか。

私だったら「よく最後まで指したね」って褒めてあげます。子どもの段階で大切なのは、「勝った」「負けた」の結果ではなく、「勝った経験」「負けた経験」から何を学ぶのかだと思います。

あの羽生名人でさえ、将棋道場に入門した当初は、20連敗したと著書に記載してあります。今の羽生名人があるのは、負けた経験を常に「学ぶいい機会」へと転換していたからだと思います。

負けることはそれを乗り越えて強くなるためのチャンスなのです!!

逆に、自分の子どもがお友だちに勝ったとき、過剰に喜ばないというのも大切なマナーです。

負けることは強くなるためのステップ
負けることは強くなるためのステップ

2.ふざけて指させない

まず「ふざけて指す」とはどういうことかというと、例えば寝転びながらや、肘をつきながら、駒をワープするなどルールにないことをするなどです。

これらの行動は子どもたちの集中力が切れてきたときに見られます。

子どもですから長時間将棋と向き合っていれば、そのうち集中力がなくなるのも仕方ないですよね。

さて、ここで親がとるべき行動についてですが、スパッと将棋を止めさせることです。

将棋はとても集中力を要する競技です。集中力がない状態で指し続けていても強くなりません。むしろダラダラとした行動が癖づいてしまい逆効果です。

そして何より、ふざけて指すことは対局相手に対してとても失礼です。

何度もいっているのですが、将棋は1対1の真剣勝負

真剣な相手に対しては、自分も集中力を持って全力で挑むことが将棋におけるマナーです。

将棋は真剣勝負です。駒を指すときは常に集中力を持って。
将棋は真剣勝負です。駒を指すときは常に集中力を持って。

3.挨拶をきちんとさせる

これは将棋でも一般社会でも基本中の基本ですよね。

しかし、私たちにとっては当たり前のことが子どもたちにとっては当たり前ではありません。

特に子どもたちが忘れがちなのは対局前、盤を挟んだときにお互いに交わす「お願いします。」の挨拶です。

普段から将棋を指す人にはちょっと考えにくいことかもしれませんが、今の子どもたちの将棋への入り口として多いのが、スマートフォンアプリなどのゲームです。

将棋ゲームには対局前に挨拶しないものもあり、子どもたちの中には「対局前に挨拶しなければならない」ということ自体知らないという子もいるのです。

そこで、親がちゃんと子どもが挨拶できているのか、きっちり見てあげる必要があります。できれば、対局をするときだけではなく、将棋道場に入室するときなど、日頃の様々な場面で挨拶の習慣を身につけてあげるのが望ましいと思います。

盤を挟んで座ったらまずお願いしますの挨拶
盤を挟んで座ったらまずお願いしますの挨拶

4.子どもを連れて将棋イベントに参加

子どもが将棋に興味を持ち出したとき、最初から将棋道場に連れていくのは少し敷居が高いというお話をよく聞きます。

そんな方にオススメなのが「将棋イベント」です。

将棋イベントでは、将棋経験者はもちろん、初心者の方やルールが分からない方でも楽しんでもらえるよう、様々な工夫がなされています。

株式会社いつつでも留学生向けに各国のボードゲームと比較してみたり、こちらは今後の予定になるのですが、名人戦で実際に使用された盤駒を子どもたちにも使ってもらったりと、色んなイベントを企画しています。

「駒の動かし方を知らなければ参加してはいけない」とか「親がついていけなくなるのではないか」など色んな不安があるかもしれませんが、ぜひ一度軽い気持ちで参戦してみてください。

子どもはもちろん、ママやパパもきっと楽しめるはずです。

はじめて将棋に触れる子どもたちでも楽しめる将棋イベント
はじめて将棋に触れる子どもたちでも楽しめる将棋イベント

5.道具を大事にさせること

イチロー選手をはじめとし、一流と呼ばれるアスリートはほぼ例外なく自分の道具を大切にしています。

そして、それは将棋にもいえることです。

プロ野球選手であれば、グローブやバッド、将棋でいえば盤や駒になると思います。


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将棋の場合、駒が1つでもなくなってしまうとゲームは成立しなくなってしまいます

なので駒をしまう時には、てきとうにジャラジャラと袋や木箱にしまうのではなく、

まずは王を2枚、次に飛車2枚、角2枚と上位から順番に全て揃っていることを確認しながら閉まっていきます。特に歩については、全部で18枚あるのですが、それらを盤の上に3×3、9枚ずつを2組作ってからしまうようにしています。

歩の駒をなおす時には3×3の組を二つ作ります。
歩の駒をなおす時には3×3の組を二つ作ります。

さて、長くなりましたが、「子どもが将棋を始める時、親が考えるべき5つのこと」はいかがでしたでしょうか?

せっかく子どもが将棋を始めたのに「ルール知らない」とか「将棋よく分からない」という理由で、ただ我が子を見守るだけというのは非常にもったいないと思います。せっかくなら、「将棋を一緒に指す」までは無理でも、「将棋を指す子どもを応援する」ことを楽しんでみてはどうでしょうか (^ ^)

子どもが将棋を始めた時、親が考えるべき5つのこと【お気楽編】もぜひお読みください!

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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