将棋を楽しむ 2017年6月23日
大人気将棋絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん」未公表将棋ネタ公開
この度、弊社代表の中倉彰子がストーリー設計を行った絵本「しょうぎの くにの だいぼうけん」(講談社)の第4刷の重版が決定いたしました!!
過去のいつつブログでも少しお話したかもしれませんが、この絵本はたくさんのママさんたちのアイディアから生まれたもの。NHK Eテレ「囲碁将棋フォーカス」の司会を務めたこともあるフリーアナウンサーの福山知沙さんの可愛いらしい絵もあいまって、手前みそながら「いいものができた!!」と、中倉、いつつスタッフ共々自画自賛ではあったのですが、予想していた以上にご好評いただけたこと、とっても嬉しく思います(^_^)
また、以前にもお話しさせていただいたのですが、この物語には、女流棋士中倉彰子がこだわって盛り込んだ将棋の要素がたくさん含まれています。これまで、小出しにはお話しさせていただいたものの、隠された将棋の要素を見つける楽しみもあるのかなぁと思い、詳細までは語ってきませんでした。しかし、藤井聡太さんの大活躍による空前の将棋ブームで、小さなお子さんはもちろんのこと、これまでの人生において全く将棋に触れてこなかったというママたちも、将棋に興味を持ってくれているように思いますので、今回のいつつブログでは、思い切って「しょうぎの くにの だいぼうけん」において、中倉がストーリーに散りばめた、将棋の要素についてこれまで話していなかった部分も公開しちゃいたいと思います( ´ ▽ ` )
将棋やったことなかったら、将棋の要素なんて気付かないですよね(^_^;)笑
1.将棋は戦いではなく、宝物をゲットするゲーム
将棋は戦のゲーム。狙うは相手の王様だ!と思っている人結構いるんじゃないでしょうか?しかし、将棋で狙うのは相手の王様ではなく宝物なのです。「将」の文字がついているので、ついつい将軍を思い浮かべるたくなりますが、実は金も銀も、何なら桂香も宝物なんです。なので、今回の絵本では、相手の王様をやっつけるストーリーではなく、大切な宝物を取り返しに行くお話にしました。
2.侍のひしゃおとくノ一のきょうこねえさん
これはちょっとした制作秘話なのですが、「しょうぎの くにの だいぼうけん」に登場するキャラクターは、当初どのキャラクターも洋服を着ていました。しかしながら、将棋といえば日本の伝統文化。キャラクターに日本らしい要素を取り入れたいとお願いしたところ、絵を担当してくれた福山さんが、ひしゃおときょうこねえさんに和服を着せて、かっこいい侍とくノ一に変身させてくれました。ちなみに、プロ棋士にとって和服は勝負服のようなもの。大切な対局では和服を着ることが多くなります(^_^)
3.おうさまのそばにはいつもきんこちゃん
他のみんなはぼうけんに出かけるのに、なぜかみののくにに残っておうさまを守るというきんこちゃん。せっかくなら、きんこちゃんも一緒に旅に出てもらって、読者としてはきんこちゃんの活躍も見たいところですよね。
しかし、将棋における金将は、おうさまの近くにていて守ってこそ力を発揮する駒なのです。まるで、王様のボディーガードのようですね。ですので、あえてきんこちゃんは旅には出ず、お留守番という設定にしました。
ちなみに、金の駒の利きはキノコような形をしています。よく見ると、きんこちゃんが住んでる家も、着ているワンピースも、キノコみたいでかわいいすよね(^ ^)
4. かっくんまさかの投げ縄失敗
ぼうけんに出かけた仲間たちの中でも、かっくんは投げ縄やレーザービームが得意だったり、ふうくんの面倒をよく見たりと強くて優しくて、とても頼りになる存在です。しかし、そんなかっくんでも、橋のない川を渡る時に向こう岸に縄を渡すのを失敗していますよね。
これは、将棋でいうと、悪手(失敗)を表しています。どんなに、練習を念入りにして盤石の状態だったとしても、本番で思わぬ悪手を出してしまうということは、誰にでもありえます。もちろんプロ棋士どうしの対局でも悪手はでます。もちろん、はじめから悪手を出さないようにするに越したことはないのですが、1番大切なのは、1度悪手を出してしまったからといって諦めないことです。悪手を出してしまってからの逆転劇は、将棋でもよくあることなのです。
作中でも、かっくんが失敗しても、他のキャラクターでそれを補って、最終的にはちゃんと川をみんなで渡れましたよね(^ ^)
5. 銀は千鳥に使え
4で投げ縄に失敗したかっくんを救ったは、ぎんこちゃんです。実は、それぞれのキャラクターを設定するにあたり、それぞれの駒の個性も盛り込んだのですが、ぎんこちゃんに盛り込んだ銀の駒の特徴は、ジグザグの動きです。「わたしにまかせて」と、右に左にと飛び石をぴょんぴょん飛び越えて行きますよね(^ ^)
ちなみに、対局に勝つための戦略を先人たちがキャッチーに表現したものを将棋の格言と言いますが、その中に「銀は千鳥に使え」というものもあります。
また、このページでは、銀の特徴だけじゃなくて、1つの駒の悪手を他の駒でカバーする、駒のチームワークなんかも意識してもらえるととても嬉しく思います( ´ ▽ ` )ノ
6.けいまーを連れ去る謎の乗り物
実は絵本の中で1番子どもたちから反応があったのが、けいまーが敵の仲間とともに「みののくに」の仲間たちの元から去るシーンです。この場面は、将棋における「取る」をイメージしたのですが、けいまーは去る際に「龍」と書かれた乗り物に乗っています。さて皆さん、龍が見えているということは、けいまーが載っている乗り物はなんだと思いますか?そうです、正解は飛車、つまり飛ぶ車なんですね、笑
絵本を読みながら、「飛ぶ車ってどんな車かな〜?」などお子さんと一緒に想像を膨らますと楽しそうですよね (^_^)
7.がっちりガードされたあなぐまの王様
さてここからは物語終盤のお話です。将棋をしたことがある人なら囲いというものを知っていると思うのですが、囲いとは、将棋の序盤戦で王様を守るためにつくるお城のようなものです。物語に登場する「あなぐま」も実は囲いの1種。まさに穴にもぐりこんだくまさんのごとく、玉のまわりを金や銀など他の駒でがっちり固めた、とても頑丈なお城です。絵本の中でも何やら怖そうな駒たちが何枚もくまの王様の前に立ちはだかっていますよね。
ちなみに、あなぐまはプロ棋士の対局でもよく使われます。(いつつのお風呂ポスターにもあなぐまが登場します( ´ ▽ ` )ノ)
7.けいまーを説得するふうくん
あなぐまの国へ行ってしまったけいまーを説得したのは、なんとまだ幼いふうくんです。ふうくん赤ちゃんなのにちゃんとけいまーを説得できるかなぁ?逆にけいまーにそそのかされて、ふうくんまであなぐまの国に行ってしまわないかなぁなど少し不安になりますね(^_^;)
しかし、皆さん安心してください。将棋におけるテクニックの一つに「桂頭の歩」というものがあります。桂頭の歩とは、桂の弱点である駒の真上のマスに、持ち駒の歩を打つというもの。そうすることで、桂馬は今いる場所から動かざるをえなくなります。一見無茶なように見えるふうくんによる説得ですが、歩と桂はとても相性がいいので(桂馬からすると悪いのかな(^_^;))、結果的にけいまーはみんなの元に戻ってきました。
さて、今回は、「しょうぎの くにの だいぼうけん」の将棋的な見どころについてお話しさせていただきましたがいかがでしょうか?
もちろん、普通の冒険物語として読んでもらってもとっても楽しいのですが、そこに将棋的な要素が加わることで、絵本のおもしろさだけではなく、実際に将棋を指す楽しさも子どもたちに伝わるといいなぁーと思います( ´ ▽ ` )ノ
神戸の将棋屋さんいつつでは、他にもたくさん子供たちが将棋を楽しんで学べるグッズをご用意しています。こちらの「ほんとうに はじめての つめしょうぎ」は、将棋を始めたばかりのお子さんにぜひオススメしたい一冊です。RPGのようなストーリー展開のなかで、将棋おうこくの王子ショウが登場し、様々なキャラクターに出会いながらしょうぎマスターを目指します。
初心者でも、ワクワク楽しみながら詰将棋の問題をどんどんとける一冊です(^^)
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