株式会社いつつ

将棋を楽しむ 将棋を学ぶ 2017年1月23日

初心者向け将棋絵本「しょうぎの くにの だいぼうけん」先行受付開始

金本 奈絵

この度、弊社代表の中倉彰子(以下彰子)が子ども向け将棋絵本「しょうぎの くにの だいぼうけん」(講談社)を出版することになりました。

「しょうぎの くにの だいぼうけん」は、将棋の駒たちが、それぞれ個性豊かなキャラクターに扮し、大切な宝物を取り戻すための冒険を繰り広げる物語です。「子どもには難しそう」と思われがちな将棋を、絵本という形にすることで、「難しい」のハードルをぐっと下げて、小さなお子さんでも楽しみながら将棋に親しめる工夫を凝らしました。

「しょうぎの くに だいぼうけん」(講談社)
「しょうぎの くに だいぼうけん」(講談社)

親しまれている絵本を題材に

– 「しょうぎの くにの だいぼうけん」を制作したきっかけはなんですか?

彰子: 「しょうぎの くにの だいぼうけん」はもともと、私が所属する日本女子プロ協会(LPSA)といつつの関連会社であるホジョセンのコラボイベントがきっかけで誕生しました。

イベントに参加いただいた方々に、「将棋を継続的に生活に取り入れるためのアイディア」をテーマに話し合ってもらったのですが、なんとそこで200を超える提案がありました。面白いものや、心温まるもの、他にも捨てがたいアイディアがいろいろ出たのですが、最終的に絵本を選んだのは、将棋が持つ様々な価値を、絵本という親子で最も親しまれているもので、伝えることができたらなぁと夢が広がったからです。

ちなみに、絵本は我が家でも子どもたちが寝る前に必ず読むようにしています。特に末っ子は、絵本が大好きで毎日「今日は何冊?」なんて聞いてきます。まぁママが疲れているときは1冊ですが、笑

200を超えるアイディアの中から絵本が選ばれました。
200を超えるアイディアの中から絵本が選ばれました。

絵本ならではの親しみやすさを追い求めて

物語では個性豊かな駒のキャラクターが大活躍!
物語では個性豊かな駒のキャラクターが大活躍!

– 将棋駒のキャラクターが、人間みたいでとても親みやすいですね

彰子: 絵はフリーアナウンサーの福山知沙さんが担当してくれました。ホジョセンとのイベントで絵本を作ると決めたものの、私はあまり絵が得意ではありませんで・・・笑
そんなときに「囲碁将棋フォーカス」の司会を務めていた福山さんが東京造形大学造形学部デザイン学科出身であると分かり、妹からお願いさせていただきました。福山さんは、絵が上手なだけではなく、将棋に関する知識もしっかりあるので、投げ縄をする「かっくん」や、ホッピングに乗った「けいまー」などそれぞれの駒の個性をうまく表現した、かわいくて親しみやすいキャラクターをたくさん作ってくれました。

将棋好きでも楽しめる工夫も

– 初心者向けの絵本ということですが、既に将棋を知っていても楽しめますか」

彰子:例えば「金」のキャラクター、きんこちゃんのお家がきのこの形だったり(金の駒の動き方はきのこの形に似ているので)、「香」のキャラクターきょうこねえさんが「まっすぐしか進めないのよー!」と叫んだり、将棋を知っている人であれば「そうそう」となるようなポイントを様々な場所に散りばめています。他にも、将棋の基本戦法における囲いの名称より「みののくに」(美濃囲い)、「あなぐまのくに」(穴熊囲い)の名前をつけてみたり、ストーリーの中に「駒を成る」「駒を取る」「駒を取られる」など将棋の要素も取り込んでいるので、もしお父さんお母さんも将棋を知っているということでしたら、絵本の読み聞かせ以外のも、「この場面はこういうことだね」など、お子さんと確認しながら楽しむことができると思います。

将棋の持つ世界観を

– 最後に、物語を通じて何を伝えたいですか

将棋のワクワクをみんなに伝えたい
将棋のワクワクをみんなに伝えたい

彰子: 将棋が持つ世界観、そして様々な価値をたくさんの人に伝えたいと思いました。

私が将棋をしていて常々感じること。それはワクワク感です。自分の狙いを考えたり、それが上手くいったときは「やったー」って感じたり、逆に相手が思わぬ手を打ってきて驚いたり、対局をするときはいつだってハラハラドキドキ、そしてワクワク感です。絵本ではこのワクワク・ドキドキの世界観を冒険に重ねて表現したいと考えました。

また、日本の将棋には、他国のボードゲームと比較して、それぞれの駒の動きが小さいという特徴があります。そのため、相手の玉を取るには、他の駒と協力しながら、前へ前へと進んでいかなくてはならないのですが、作中にこの「協力する」というシーンを意識的に取り込みました。例えば、敵のアジトへ行く途中に、大きな川を渡らないといけない場面が出てきます。ここでは、まず「角」のキャラクターかっくんが投げ縄をして木にロープをかけようとするのですが上手くいきません。そこで「銀」のキャラクターぎんこちゃんが出てぴょんぴょん岩を飛びながら向こう岸にロープを渡します。将棋は、1局の中でも山あり谷あり。自分にとっていい局面もあれば、思い通りにいかないこともあります。大事なのは、悪い手(将棋用語だと「悪手」と言います)の後に決してあきらめないということです。

また、物語の最後では、敵の王様が「まけました」と言って宝物を返します。将棋では、最後に負けを自ら宣言すること投了というのですが、ブログなどでも度々お伝えしているように、「負けを認める」というのは、将棋においてとても大切なことなので、ここも絵本を通じて子どもたちに伝えたかったことの一つです。

*

さて、今回のいつつブログでは、「しょうぎの くにの だいぼうけん」の作者である中倉彰子に、絵本制作秘話について詳しく聞いてみましたがいかがでしょうか?

この絵本をきっかけに、もっとたくさんの人たちに将棋を好きになってもらえるととても嬉しく思います。

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この記事の執筆者金本 奈絵

株式会社いつつ広報宣伝部所属。住宅系専門紙の編集記者を経て現在に至る。

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