将棋を学ぶ 2024年11月1日
【初心者〜初級者向け】歩の上手な使い方!ー 練習問題付き・6つの手筋 ー
歩の特徴
「歩」は将棋の駒の中で一番数が多く、使うことの多い駒です。動けるマスが少ないので、最初のうちは取っても使い道に困ることがよくあるようです。
一番価値の低い「歩」ですが、実は一番手筋の多い駒です。「歩」を上手に使えるようになると初段になれるとも言われています。今まで「歩」の使い方に悩んでいた方は、ぜひ手筋を覚えてみてください。
垂れ歩(たれふ)
二段目〜四段目(自分が後手の場合は六段目〜八段目)へ歩を打って、次に と金 を作る歩のことを「垂れ歩(たれふ)」と言います。歩は1マスしか進めませんがと金になれば6マス進めるようになるため、成ったときに一番強くなる駒です。(進めるマスが6倍になります)
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敵の陣地に作るので取られることは多いですが、取られたときに歩に戻るため相手に渡しやすいという特徴もあります。
そこで、垂れ歩は相手玉の守り駒との交換によく使われます。囲いでは、特に穴熊囲いを破るのに効果的です。穴熊囲いは、金銀で攻めると取られたときにその金銀で囲いを作り直されることが多く、なかなか崩せません。しかしと金で攻めることで相手は歩しか取ることができず、囲いに使うことができないのです。
垂れ歩の打ち方
①と金を作りたい筋に自分の歩がないか確かめます。(二歩に気をつけましょう)
②と金を作りたいマスが決まったらその一マス下に歩を打ちます。これが垂れ歩です。
☆垂れ歩を打ったらそのままにせずに、自分の番が来たら進めてと金にしましょう。
垂れ歩のポイント
と金の働きが良くなるように垂れ歩を打つのがポイントです。と金は金と同じ動きのため、前に進む力が強い駒です。一段目のと金と三段目のと金を比べてみると、一段目のと金が動けるマスは3マスですが、三段目のと金は6マス動けます。駒は動けるマスの多い方が働きが良いので、三段目のと金の方が働きの良いことが分かります。打つ場所に迷ったら、できるだけ上から(三段目や四段目へ)打つようにしましょう。
練習問題①
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たたきの歩
相手の駒(歩以外)の前に打つ歩のことを「たたきの歩」と言います。相手の駒の位置を変えたいときに使います。たたきの歩を同じ駒の前に連続して打つ場合は「連打の歩(れんだのふ)」と言います。「たたきの歩」は攻めにも受けにも使える幅の広い手筋です。
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たたきの歩は相手に歩を取られることを前提として打ちます。目的もなく打ってしまうとただの損になります。駒を移動させることで歩を損する以上の得になるときに打つようにしましょう。
たたきの歩のポイント
たたきの歩を打つことを目的とするのではなく、相手の駒が邪魔だなと思ったときにこの手筋を思い出して打つようにしましょう。この駒がいなければ別の駒が取れるといったような駒の繋がりを断つときや、駒が移動してくれれば利きがなくなって自分の駒が進めるといったときに便利な手筋です。
練習問題②
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ダンスの歩
たたきの歩や歩を成り捨てることで相手の駒の位置を少しずつ変えていく手筋を「ダンスの歩」と言います。金銀を狙うときにでてくる手筋です。相手の駒が何度も動くことで、ダンスを踊っているように見えることからこの名前がつきました。
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頻出度の少ない手筋ですが、金銀の弱点をついた攻め方(金は斜めに、銀は前へ進むと元の位置に戻りづらくなる)は参考になると思います。また、ダンスの歩のように駒の利きの多いところへ打つ歩を、焦点の歩と言います。こちらも合わせて覚えておくと便利です。
合わせの歩(あわせのふ)
相手の歩の前に打つ歩を「合わせの歩(あわせのふ)」と言います。相手の歩の位置を変えたいときに使います。
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「たたきの歩」のように、歩は相手に取られることを前提にします。その後相手の歩を取り返すことができたり、歩を取られる以上の得があったりするときに使いましょう。
合わせの歩のポイント
「合わせの歩」を打つことは目的ではありません。補助として使います。相手の歩の位置が変われば自分の駒が進める、歩が進むと空間ができて駒が打てる、といった状況のときにこの手筋を思い出してみてください。
練習問題③
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突き捨ての歩(つきすてのふ)
盤上にある歩を進め、取らせることを「突き捨ての歩(つきすてのふ)」と言います。「合わせの歩」と似ていますが、持ち駒の歩を打つのが「合わせの歩」で盤上の歩を進めるのが「突き捨ての歩」という違いがあります。
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歩を突き捨てることで、相手の駒の位置を変えることができたり、突き捨てた筋へ持ち駒の歩を使えるようになったりします。捨てるという言葉が名前に入っているように、盤上の歩が邪魔になったときによく出てくる手筋です。
また、「開戦は歩の突き捨てから」という将棋の言葉がある通り、中盤戦は「突き捨ての歩」から始まることが多いです。歩を突き捨てることで、後ろに控えている駒を進めることができるからです。
突き捨ての歩のポイント
自分の駒を進める、持ち駒の歩を打てるようにする、相手の駒の位置を変えるなど様々な目的で使います。また、後からスムーズに攻めるために歩を突き捨てておくこともあります。必要なときにすぐ突き捨てられるよう、攻めたい筋の歩をあらかじめ進めておくことが大切です。
練習問題④
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底歩(そこふ)
自陣の一番下の段に打つ歩のことを「底歩(そこふ)」と言います。相手の駒の利きを止めるときに使う受けの手筋です。
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飛車や竜で攻められたときによく使う手筋です。特に金の下に打つ底歩を「金底の歩」と言い、良い守り方とされています。なぜなら、金底の歩を打たれた形は金と歩の繋がりを断たないとその向こう側を攻めることができず、繋がりを断つのは時間がかかるためです。
底歩のポイント
歩の手筋ではいつも気をつけなければいけないことではありますが、二歩にならないよう気をつけて打ちましょう。また、底歩を打った後はその筋に歩をつかえなくなります。底歩は盤の一番下に打つため特に忘れがちです。歩を使うときは、一度盤の下まで確かめるくせをつけておきましょう。
練習問題⑤
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まとめ
今回は垂れ歩、たたきの歩、ダンスの歩、合わせの歩、突き捨ての歩、底歩をご紹介しました。手筋は組み合わせることで、手を作ることや厳しい攻めをすることができます。今まで歩の使い方に悩んでいた方は、ぜひ一つでも手筋を覚えてみてください。
練習問題の答え
練習問題①の答え
☗5四歩
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【解説】☗5三歩成と「と金」を作った後、☗4三と と進めて金との交換を狙います。二段目へ「と金」を進めても交換にならないので気をつけましょう。(4二のマスは金と銀の2枚が利いているのでと金を取られてしまいます。)
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たたきの歩練習問題②の答え
☗4三歩
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【解説】銀を狙うのが正解です。銀を動かすことで金を取れます。☗3二歩と金を狙うのは、☖同金と取られて何も取ることができず失敗です。
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ダンスの歩練習問題③の答え
☗3四歩
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【解説】☗3四歩を相手が放っておくと☗3三歩成でと金が作れて、敵陣を破ることができます。相手は取るしかありませんが、☗3四同飛と歩を取り返した手が3二の金と5四の銀の両取りになり、技が決まります。
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突き捨ての歩(つきすてのふ)練習問題④の答え
☗3五歩
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【解説】☗3五歩を放っておくと☗3四歩と取り込んで、次に桂を取ることができます。☖3五同歩と歩を取られる手には、3四のマスが空いたので☗3四桂と金の両取りに桂を打つことができます。☗1五歩と端を突き捨てるのは、☖同歩☗1四桂に金を逃げられてうまくいきません。
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底歩(そこふ)練習問題⑤の答え
☗4九歩
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【解説】☖6九竜と王手をされているので受けなければいけません。銀が利いているので2八のマスには逃げられません。合駒をするしかありませんが、☗5九歩、☗4九金、☗3九金はただで取られてしまい失敗です。2筋と3筋はそれぞれ歩があるので、自分の歩のない4筋に歩を打って受ける☗4九歩が正解です。
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まとめ最後までお読みいただきありがとうございます。
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