将棋を学ぶ 2016年6月20日
子どもに自慢できる!? 将棋にまつわる雑学5つ
日本の将棋は、何も無いところから突然「ぽっ」と現れて、それ以後日本中で楽しまれているというわけではありません。
実は、もととなったのはインドの「チャトランガ」というボードゲームなのです。
チャトランガが日本に伝来し、国内で様々な進化を遂げて今の日本将棋になったという歴史があるのです。
今日は、このような将棋の雑学のなかでとくに面白く、思わず子どもたちに話したくなるようなトリビアについて、紹介していきたいと思います( ´∀`)
- 1. 日本の将棋と西欧のチェスは兄弟!
- 2. 持駒を再利用できるのは日本の将棋だけ!
- 3. 駒が色分けされていないのも、日本将棋だけ!
- 4. 日本の将棋は派手に動く駒が少ない
- 5. 昔の将棋には「銅将」もいたし、「仲人」もいた!
1. 日本の将棋と西欧のチェスは兄弟!
将棋には、世界中に兄弟がいます。実は西欧で楽しまれているチェスも将棋の兄弟なのです。チェスは日本にも愛好家が多く、ハリーポッター等の小説にもでてくるので、ご存知の方が多いですよね(^ ^)
チェスもまた将棋同様にチャトランガが祖先に当たります。チャトランガが西に東に伝播し、行く先々でその土地に馴染んだ形で改良されてきたものが、将棋であり、チェスなのです。
例えばチェスは、インドからチャトランガが伝来したのち、15・16世紀に「女王」・「僧侶」といった西洋らしい要素を持つ駒が新しく追加されました。
また、先日公開した記事では、チャトランガが伝播してきたことによって生まれた将棋の兄弟たち4つ(シャンチー[中国]、マークルック[タイ]、チャンギ[朝鮮半島]、チェス[ヨーロッパ])とチャトランガのそれぞれのルールや特徴について述べたのですが、シャンチーは駒の文字が漢字で、中央に川が流れていたり、マークルックは、駒が仏教寺院のような見た目になっていたりします。将棋をはじめとしたボードゲームには、その国のお国柄が現れているのですね!
2. 持駒を再利用できるのは日本の将棋だけ!
1で世界中の将棋の兄弟のユニークさについて論じてきましたが、それでは、他の兄弟たちにない、日本将棋のユニークな部分は一体どういったところにあるのでしょうか。
日本将棋において最も特徴的なのは「持駒が再利用できる」ということです。これについて詳しく説明します。
チャトランガが伝わっていった各地の将棋の兄弟たちには、「取られた駒は、ゲームから除外する」という「持駒再使用不可」ルールが採用されています。なぜなら、チャトランガは戦争を模して作られたゲームだと言われており、そういったことを踏まえると、一度やっつけた相手を、味方として再利用することができるという「持駒再使用可」というルールは想像しにくいのかもしれません。
しかしながら、日本の本将棋には、「持駒再使用可」ルールによって将棋の兄弟にはない様々な戦略が生まれました。以下であげるのは本将棋の基本的な動作ですが、これらが成立するのも日本の将棋だけです。
- 飛車や角での王手を合駒で受ける、という方法。もし合駒が打てない、ということになると、たくさん動ける駒はより強い駒になりそうですねね。
- 日本の将棋は「引き分け」はあまり多くない。将棋の兄弟である様々なゲームは終盤に近づくと駒が少なくなっていくため、引き分けになるケースが多いです。
- 金は王様の隣にある守りの要です。しかし、将棋の最終盤になると、金は詰みを考える上での切り札(攻撃の切り札)になります。持駒再使用不可ルールだと、守りの駒をワープさせて攻めの切り札にすることはできませんよね。(頭金とか!)
※非公式なルールとしては、チェスの持駒再利用可ルール「クレージーハウス」なども存在しています。このルールでは、相手がルークでチェックしたのに対してポーン合!あるいは、打ちポーン詰め!といったこともできるようです(笑)
3. 駒が色分けされていないのも、日本将棋だけ!
持駒再利用可ルールの他にも、日本の将棋には様々なユニークさがあります。まずは「駒の形」について。
将棋の駒は平べったい五角形の形ですね。でも、他の将棋の兄弟たちの駒も見てみてください。
この記事で紹介している5つの将棋の兄弟はすべて、「色」によって敵味方が区別されているのがお分かりでしょうか。
持駒再利用可ルールの下では、相手の駒を取ったのに、ちがう色だったらまぎらわしいですよね。方向で敵味方を区別するという方法が、「持駒再利用可」ルールを支えているのです。(この記事で盤駒に関わる雑学を紹介しています。)
4. 日本の将棋は派手に動く駒が少ない
チェスのクイーンは将棋で言うと「飛車と角の動きが両方できる」というダイナミックな駒になっている他、飛車と同じ動きのルーク(城)、角行と同じ動きのビショップ(僧侶)は2つもあります。
また、シャンチーやチャンギには、将棋の飛車と同じ動きができる車が2つある他、大砲という縦横自由に動くことが可能で、駒を取る時だけは、取りたい駒との間に1つ何らかの駒がある場合のみ、それを飛び越えて駒を取ることができる、という動きの駒も2つあります。
その一方で将棋には、ルーク(チェス)や車(シャンチー・チャンギ)といった飛車がひとつ、ビショップ(チェス)と同じく斜めに自由に動ける角行がひとつ、ということで、ダイナミックに動ける駒は多くありません。
動きの小さな駒たちが協力する必要があるのですね。このあたりも協調性を重んじる日本人らしさが現れているような気がします。
また日本将棋の性質上、盤上の駒だけでは相手の陣地を突破できないようになっています。なので、駒を交換して、持ち駒を増やして突破する必要があります。
前述の「持駒再利用可」ルールを利用して、細かい動きの駒をたくさん利用し、相手の王様を追い詰める、という感覚は、日本将棋特有のものなのです。協力して攻めないと守りを崩すことができないのです。
5. 昔の将棋には「銅将」もいたし、「仲人」もいた!
日本に将棋が伝播した時から今遊ばれているようなルールだったわけではありません。今の将棋に至るまでの過程の将棋に関して、「平安将棋」・「中将棋」・「小将棋」の3つを紹介していきたいとおもいます。
平安将棋
11世紀頃に日本で遊ばれていた将棋です。平安時代の将棋であるため、「平安将棋」と言われています。
初期配置は写真の通りです。どこかで見たことのある配置ですね。初期配置は私たちが日頃目にしている将棋から飛車と角行を取っただけの配置です。これにプラスして平安将棋は「持駒再使用不可」ルールになっています。
中将棋
平安引き分けが多いという問題点を改善したかったのか、平安将棋から大幅に駒を増やした将棋です。室町時代頃のものと考えられています。
駒の種類はなんと21種類、計46枚。おなじみの角行・飛車がこのルールで生み出されてきたほか、「銅将(やっぱりあったんだ!?)」、「反車(反?)」、「仲人(戦えるの?)」など、楽しそうな駒がたくさんあります。
小将棋
現在の将棋に「酔象」という駒をそれぞれの玉の前に加えて(!)、持駒再利用不可ルールにしたものが小将棋です。
小将棋の特徴は何と言っても「酔象」にあります。酔象はすぐ後ろ以外の全方向に1マス動くことができる駒ですが、それだけではないんです!なんと敵陣に入って「成る」と、「太子」という駒になります。なんと、この酔象は王様の子どもだったのですね〜。
自分の「太子」が盤上にいると、自分の王様が取られたとしても負けになりません!太子が後を継いで戦ってくれるんですよ!
しかし現在の本将棋では酔象は失われてしまっています。持駒再利用可ルールにおいては、相手の酔象を敵陣に打つことで、太子をたくさんつくってしまう、というのが、無くなった原因のひとつではないかと言われています。振り飛車ができるようになったのは酔象がいなくなったからかもしれませんね(笑)
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いかかでしたか?こういった将棋の雑学を学んで、お子さんとおしゃべりをしながら将棋を指すのが楽しいと思います。年齢によってそれほど強さが左右されない、世代を超えて楽しめる、という将棋の魅力を生かして、是非とも親子でのコミュニケーションツールとして将棋を活用していってくださいね。
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