将棋で身につく力といえば、「考える力」「集中力」「先を読む力」「礼儀作法」などを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?もちろん、将棋を継続して行うことでこれらの力が身につくわけですが、実は将棋をすることで、これら以外にも意外な力を養うことができるように思います。
そこで今回のいつつブログでは、将棋で身につく意外な力をいくつか紹介したいと思います。
1.打たれ強さ
将棋ほどよく負ける競技はないかもしれませんね。というのも、サッカーや野球に比べて、将棋は圧倒的に戦う回数が多いからです。小学生の場合だと、前者は多くても1日3試合くらいでしょうか。その一方で、将棋はというと、1度道場に行くと1日で10〜20くらいの対局をこなします。我が家の末っ子も初めて道場へ行った時に24局指していました・・。子どもは1局終わる時間も早いですからね。そして、10〜20局のうち、半分以上負けてしまうということも多いです。 一回一回負ける度に打ちひしがれていたら、とても持ちませんね。
将棋を始めて最初のうちは、なかなかこの「負け」を受け止められず、泣いてしまう子どもたちもいます。ですが、将棋道場などでは、悲しむ間もなくすぐに次の対局がやってきます。悔しくて悲しい思いを抱えながらの対局を行う中で、「将棋で負けた悔しさを晴らすには、将棋で勝つしかない」。 こうやって、「気持ちの切り替え」を学んでいくような気がします。
もちろん、負けた将棋からきちんと反省することが大事ですが、くよくよと悩んでる間はなかなか上達しないものです。しっかり反省したら、負けた将棋を忘れ次に向かうという気持ちの切り替えが大事です。 将棋の打たれ強さとは、負けに慣れることではなく、負けを引きずらずに、新たな気持ちで次に挑む力に通じると思います。
2.社交性
テレビや動画サイトなどで配信される対局風景では、棋士は黙々と将棋を指しています。そのため、「将棋をしている」というと、寡黙とか大人しい、控えめといったイメージを持たれるようです。もちろんそういう方もいらっしゃいますが、けっこうおしゃべりだったり、社交的な方も多いです。最近は、動画配信で棋士の方が解説をしている光景が多くみられますが、長時間の放映時間にもかかわらず、皆さん、わかりやすく、時にはジョークを言いながら楽しく解説していると思います。対局では一切話をしない職業ですが、話すことも仕事、いう両面がある世界ですね。
さて、将棋は社交性という観点からいうと、初対面の人と話をする上で、大きな武器になると思います。例えば、子どもたちが大きくなって就職をした時、年の離れた上司と一局将棋指すなんてこともあるかもしれません。また、時間のある学生のうちに色んな経験を積んでおこうと海外留学した時、言葉は通じなくても、インドのチャトランガや中国のシャンチー、ヨーロッパのチェスなど世界中に将棋の兄弟と呼ばれるボードゲームが存在するので、ゲームを通じて心を通わせることができるかもしれません。将棋は、世代や国の垣根を超えて共通の話題になりやすいトピックと言えそうです。
私の場合は、小さな頃から道場などに通っていたので、たくさんの年上の方と話をしていましたし全国で将棋ファンの方々と指導対局という形で対局しますが、初対面の人でも、一局対局が終わると感想戦でとても親しくお話をすることができます。共通の話題があると、誰でも仲良く話せますよね。将棋という共通な話題があると、年齢や男女、もしかしたら国も超えて、交流することができ、様々な方と交流することで社交性もつくのかな思います。去年までいつつにいたスタッフも中国に留学した際に、シャンチーを通じて現地の友人ができたと話していました。
3.負けん気
藤井聡太さんも小さい頃「負けず嫌い」だったそうですね。大会の決勝戦で負けてしまって泣きじゃくっていた藤井少年の映像をみたことがあります。微笑ましく、また「あーこの悔しさをバネに強くなっていくんだな〜」という想いでみていました。
将棋は運の要素が全くない完全実力性のゲームなので、負けたとすれば、それは自分一人の実力が相手より劣っていたということであり、しかも、「負けました」と自らその事実を認めなければなりません。 本当に負けた時は「悔しい〜!」となります。でも、だからといって対局をしないままでは、強くなれません。「もう1局!」という負けん気が必要になってきます。ちなみに、私自身実は自分は負けん気が強くないほうだと思っていたのですが、「いやいやかなりの負けず嫌いだよ。」と友人に言われたことがあり驚きました。自然に身についていたようです。
また、初心者向け将棋テキスト「はじめての将棋手引帖1巻」を制作する過程で、子どもが将棋をしているというお母さんにインタビューする機会があったのですが、お話しを聞いた一人に、子どもが将棋を始めて良かったこととして、悔しがる気持ちが身についたことを挙げるお母さんがいました。そのお母さんによると、それまで学校のドッジボールなどで負けて帰ってきても飄々としていた子どもが、将棋で負けたときに初めて悔し涙を流す姿を見たそうです。そんな姿を見てそのお母さんが感じたのは、かわいそうという気持ちではなく、子どもの成長だったようです。
4.あきらめる力
「あきらめる」という表現だとちょっとネガティブな印象かもしれませんね。その状況を受け入れる、ということでしょうか。将棋には決められたルールがあります。9×9の81マスの盤、8種類40枚の駒。どの駒も決まった動きや、やってはいけない禁じ手のルールがあります。その条件の元で、一番良い最善手を探します。
自分の置かれた環境で、自分にはどのように頑張っても変えられないものがあると思います。それが将棋のルールのようなものならば、そこに不平不満を持ったりするのではなくあきらめてしまって、その中で最善手を探すほうがいいのかなと思います。どんなにがんばっても、桂は3マス・4マス先も飛べないのです(そこは将棋のルールだから・・・)。なので変えられない部分はスッパリあきらめてしまって、最善手を探す方に、力を注ぎたいですね。
どんなにがんばっても「白馬に乗った王子様はこないのです!」笑。というとちょっとツッコミを受けそうですが・・。
また、 少し話がそれるのですが、将棋界には「形づくり」という言葉があります。形づくりとは、もう負けだと悟ったときに、へんに粘ったりすることなく、一手違いで負けることを覚悟の上で、相手の玉に迫った形(棋譜上、接戦だったような形)をつくることをいいます。なぜこのようなことをするのかというと、それはプロ棋士としての美意識からです。棋譜がよごれるという言葉が将棋界ではありますが、プロは棋譜を残してファンの方に見ていただくことがお仕事なので、棋譜の中に美意識を持ちながら対局をしています。プロ棋士のこうした風習も、「負け」という条件を受け入れつつ、最善の手を尽くすという意味で、ある種「あきらめる力」になるのかもしれません。
5.面倒見の良さ
将棋とは孤高の戦いである、というイメージを持つ人は少なくないのでしょうか?確かに、対局中は、誰からも助言やアドバイスを受けることができず、一人でやりぬかなければならないので、そういった意味では、孤高の戦いなのかもしれません。しかしその一方で、将棋は自分以外の人と密に接する競技であるともいえます。例えば、将棋でプロを目指すようになると、プロ棋士のもとに弟子入りし、一門の門下生になります。そこでは、師匠との師弟関係の他、兄弟子、弟弟子などもでき様々な人間関係が育まれます。
実は私の夫もプロ棋士で弟子が数人いるのですが、弟子の対局結果などあれこれ心配したりしている姿を見ていると、思わぬ面倒見の良さにびっくりしてしまいます。
また、プロでなくても道場などで対局をすると、毎回感想戦といって「あの手が良かったよ」「この局面ではこう指した方が良かったよね」と上手側が下手側にアドバイスをする光景がみられます。私も小さい頃に道場に通い始めた頃には、たくさんの人からアドバイスしていただき、そのことが糧となり女流棋士になることができました。面倒見のいいおじいちゃん、おじさん達に支えられていたと思います。将棋では、草の根レベルで「面倒を見る」「サポートする」ということが定着しているのではないでしょうか。 ちなみに、いつつの将棋教室で講師を担当している荒木も、子どもの面倒見がいいと評判です。
さて、今回は将棋で身につく意外な力についてお伝えしましたがいかがでしょうか?
もっと詳しく知りたい方には、子どもたちの将棋の成長が分かるポイントについての記事がおすすめです。
将棋というと、インドアなので、大人しいとか、静かとか、暗いとか、冷静とか、一人ぼっちとか何かと寂しいイメージを持たれがちかもしれませんが、案外将棋をする人は明るくて、情熱的で、社交的な面があると思います。
将棋で身につく意外な力を身に付けたくなったら、いつつ将棋教室まで
いつつのオンライショップ神戸の将棋屋さんいつつでは、子どもたちが楽しく将棋を学べる様々なグッズを取り扱っています(^^)
今すぐ将棋をはじめたいあなたには、こちらのセットがおすすめです。
関連記事
いつつへのお仕事の依頼やご相談、お問合せなどにつきましては、
こちらからお問い合わせください。