株式会社いつつ

:お仕事 2015年10月19日

初手

高橋 孝之

こんにちは、いつつ取締役(になるはず)の高橋です。 今、10月19日の午前4時30分です。いよいよ本日プレスリリースが流れ、明日には正式に株式会社いつつが登記されます。サイトのオープン、登記の準備などなどに追われた、心地良い忙しさ。将棋で言うなら、終盤戦? いえいえ、最後の「歩」を盤上に並べ終え、「お願いします」と礼をするためにひっそりと息をしているような状態です。

社長の中倉がよく使うことばがあります。「棋は対話なり」。もしかしたら間違えているのかもしれませんが、僕なりの理解でいえば、将棋の棋譜というのは対局者同士で作り上げる作品であって、1手1手が対局者の発話、問いかけのようなもの。そこに流れる無言のコミュニケーションが棋譜には内在している。そんな意味だそうです。

非常に日本的だな、そう感じました。社会人生活の多くを外資系企業で過ごした僕は、非常にローコンテクストな世界で生きてきました。自分の意見をこれでもかというくらい明示し、行間を読まない or 読めないような直接的な表現でコミュニケーションをとってきました。それに対して、日本はハイコンテクスト文化だと言われます。言語や価値観、知識、ロジックなどを言外に共有し、「みなまで言うな」の世界です。棋譜という対話は、究極的にハイコンテクストな対話だなあと思うんです。そして、それでも対話が成り立つところに、美しさであり文化であり価値観が浮き出てくる、そう感じています。

将棋に限らず、日本文化は「ハイコンテクストな対話」を非常に好んでいると思います。ハイコンテクストな中、目に見えている部分は氷山の一角。目に見えていない部分、そのプロセスや哲学、誇りや葛藤、所作などなど、そんなさまざまなコンテクストを、ひとりでも多くの方と共有できたら幸せだ、そういう想いで最後の歩を盤上に置きました。

いつつは本日、初手を指します。将棋が相手なしでは指せないように、いつつも取締役3人だけでは前に進めません。いつつという会社が、今後どのような棋譜を残していくのか、みなさんとどんな対話をしていくのか、ぜひご注目ください。どうぞよろしくお願いいたします。

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この記事の執筆者高橋 孝之

アクセンチュア官公庁本部にて官公庁の業務改革プロジェクトに従事。大学院留学 を経て、MM総研にてITサービスの企画・コンサルティング、新規事業コンサルティング、新サービスの調査研究、P&Gにて市場分析、消費者調査、ブランド戦略、販売戦略、販売量予測などに従事。その後参画したアドバンスト・マークでは、ハンズオンの事業再生コンサルティングに従事。クライアントの経営本部長、マーケティング部長として事業再生、ブランド再生、組織作り、マーケティング、広報、営業、クリエイティブ、海外 投資家との折衝など幅広く携わる。2012年に株式会社ホジョセンを設立、代表取締役就任。生活者視点のブランド・マーケティングや事業戦略のコンサルティングをおこなう。2015年、日本伝統文化にマーケティングの考えを適用して普及すべく、プロの将棋女流棋士中倉彰子とともに株式会社いつつを設立、取締役就任。京都大学法学部、英国グラスゴー大学大学院社会科学研究科卒。@inyuinyu

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